もしかして、ひどい肩こりに日々悩んでいませんか? あまりに肩こりがひどい場合、なんらかの病気の可能性があります。
マッサージや入浴で血行を促進させるなど、セルフケアによって解消される程度の肩こりならば問題ないかもしれません。しかし、夜に寝られないような我慢できない痛みや、頭痛や吐き気、手足のしびれなどの症状が見られた場合、あなたの肩こりは単なる肩こりではなく、何らかの病気にかかっている可能性があります。
ここでは、病院へ行くべきかどうかの判断基準と、受診すべき診療科、そして肩こりが発生しやすい代表的な病気を説明していきます。不安なようなら、あなたの肩こり以外の症状と照らし合わせてみましょう。
1.こんなひどい肩こりは病気の可能性が
1-1.ひどい痛み、痛みが左右どちらかに起こる
セルフケアを試しても一向に良くならず、日増しに痛みが激しくなっていく肩こりは、単なる筋肉疲労ではなく、なんらかの病気にかかっていることが考えられます。
また痛みが左肩を中心に発生する心筋梗塞という病気があるように、痛む箇所が偏っている場合も注意が必要です。
1-2.手足のしびれがある
手や足がじわ~っとしびれる、ある方向に曲げると発生するしびれなど、肩こり以外に手足がしびれる場合は要注意。脳梗塞や脳出血などの脳の病気が進行している可能性が考えられます。
また、むち打ち症や頸椎椎間板ヘルニアなど頸椎を痛めた病気でも手足のしびれが見られます。
1-3.頭痛・吐き気・めまいがある
肩こりのせいで頭痛や吐き気、めまいの症状が出てきたと思っていたら、実は、重い病気の症状として肩に痛みを感じていた…なんてことも考えられます。
肩こりの原因が、クモ膜下出血などの脳血管障害による頭痛や、耳の三半規管の障害でめまいが起こるメニエール病だったというケースがあります。
2.治らない肩こりは注意!まずは病院へ
症状・状態 | どこに行くべきか | 備考 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
どこに行けばいいかわからない | 整形外科 | 問診から始まり、触診、関節のチェック、レントゲン撮影、血圧測定。必要に応じて他の科の紹介 | ||||||
頭痛や目まい、手足のしびれ | 神経内科 | 末梢神経、筋肉の疾患の専門 | ||||||
激しい頭痛、ひどい吐き気、手足のしびれや目まい | 脳神経外科 | 脳の病気の専門。頭を打った場合などはここへ | ||||||
目の疲れ、あごの痛み | 眼科・歯科 | 目の疲れやあご周辺の筋肉の緊張により肩こりになるケースも |
医師に診てもらう前に一度、「いつから、どこが、どう動かすと、どう触ると、どのように痛むのか」といったように、自分の症状を把握しておきましょう。自分の身体の異変をきちんと医師へ説明できることが、正確な治療につながります。
2-1.どこへ行くべきか不明なら、まずは「整形外科」へ
いざ病院へ行こうと思っても、実際に何科を訪ねたらいいのか気になるところですが、まずは一度整形外科で診察されることをおすすめします。
整形外科では問診から始まり、触診で筋肉の痛みや肩関節の可動域、頸椎に問題があるかを診てもらえます。必要に応じてレントゲン撮影や血圧測定などさまざまな検査を行ない、肩こり以外の病気の可能性がある場合は、他の診療科を紹介されることになります。
2-2.頭痛やめまいがあるなら「神経内科」へ
神経内科は脳神経や脊髄、末梢神経および筋肉の疾患を専門としている内科です。ひどい肩こりに加えて手足がしびれる、頭痛やめまいなどの症状が出ている場合に、この科で診てもらうケースがあります。
脳・脊髄・末梢神経・筋肉などを検査していき、脊椎の病気などは整形外科医にかかることも。また、クモ膜下出血など脳に関わる症状が出ている場合は、すみやかに脳神経外科を受診する必要があります。
2-3.激しい頭痛なら急いで「脳神経外科」へ問合せを
脳の病気が原因で見られる症状がある人がかかるのが脳神経外科です。脳の病気は早期の発見治療が大切なので、頭を打ってから肩こりが始まった、ひどい頭痛や吐き気、手足のしびれ、めまいなどの症状が見られる場合は、急いで脳神経外科のある病院を訪ねましょう。
2-4.眼の疲れや、あごに痛みが走るなら「眼科・歯科」へ
一向に肩こりが良くならない場合は、眼科・歯科で診察してもらうのも一つの手です。眼精疲労からくる頭痛をともなった肩こりや、あご周辺の筋肉の緊張状態(顎関節症)が続くことによって、血行不良を起こして肩こりになるケースがあります。
3.ひどい肩こりをともなう代表的な病気例
ほんの一例ですが、肩こりが副作用で発生する代表的な病気を紹介します。頸椎が変調することによって生じる病気や、生活習慣が原因で発症するもの、加齢にともなって症状があらわれるものがあります。
3-1.頸椎椎間板ヘルニア(けいついついかんばんへるにあ)
頭を支えるための骨の一部である頸椎の椎間板から中身の髄核(ずいかく)が飛び出し、神経や脊髄を圧迫することによって、肩こりや首周辺の痛みや、手足のしびれなどの症状が発生します。
3-2.変形性頸椎症(へんけいせいけいついしょう)
年を取るに伴い発症しやすく、首の骨と骨をつなぐ椎間板の弾力が減少することで症状があらわれます。肩こりや首周辺の痛みやだるさが、激痛というよりはじわじわと続きます。
3-3.むち打ち症
交通事故などによる強い衝撃によって、頭部と胴体が違う方向へ動いてしまい、頸椎が捻挫している状態をいいます。肩以外にも首筋や背中の痛みがあり、頭痛、耳鳴り、めまい、吐き気などをともないます。
関連記事:『放置は禁物!後遺症を残さない適切なむちうちの治療』
3-4.高血圧症・低血圧症
遺伝や病気、生活習慣が原因で発症し、高血圧症だと肩こりの他に動悸やのぼせなど、低血圧症だと肩こりの他に手足の冷えや身体のだるさなどの症状があらわれます。
3-5.狭心症・心筋梗塞
動脈硬化によって心臓を取り囲む血管が詰まることによって、左肩を中心にした痛みが発生する他、胸が締め付けられるような痛みがあります。
3-6.四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)
四十代以上に多く見られる疾患です。加齢にともなって肩関節が慢性的な炎症をおこします。突然激痛に見舞われる急性期からはじまって、肩の可動域が狭くなっていく慢性期があります。
3-7.更年期障害
女性特有の疾患で、閉経の前後に女性ホルモンが減少することによって自律神経が乱れて、肩こりや腰痛、頭痛などの症状が発生しやすくなります。
4.慢性的なひどい肩こりは複合技で解消を!
しつこい肩こりに効果がある解消法を紹介していきますので、ぜひとも組み合わせてみてください。
ただしこれらの解消法では、肩こりを呼ぶ病気そのもののを治癒することはできません。ひどい肩こりに悩まされている場合は、病院での診察、医師の判断を優先してください。
4-1.ツボ指圧・体操・ストレッチ
職場でも自宅でもどこででも。場所を選ばずに簡単に試せる肩こり解消法を紹介します。
ツボ指圧はコリに直接作用する解消法なのに対し、体操やストレッチは広範囲の筋肉を連動させてコリをほぐしていきます。
詳しくは関連記事『家でも会社でも!いつでもできるつらい肩こりのお手軽解消法』で解説しています。
文典:セルフドクターネット
4-2.正しい姿勢を身につける
特に座っている姿勢を気をつけることによって、デスクワークの多い人なら肩こりが和らぐ可能性があります。
詳しくは関連記事『気になる肩こりの三大原因!その解消法もあわせてチェック』の「3-2.正しい姿勢を意識する」をご覧ください。
文典:肩こり百科
4-3.眼精疲労をやわらげる
本やパソコン・スマホなどで長時間目を使っているとなりやすいのが眼精疲労。目の疲れを感じたら、ちょっとした時間でできる目のリフレッシュ法(ツボ刺激・眼球運動など)を試してみてください。
関連記事『気になる肩こりの三大原因!その解消法もあわせてチェック』の「2-2.眼精疲労をやわらげる方法」に詳細がありますので、ぜひ一度お試しあれ。
文典:ウェルラボ
4-4.血行を促進させる
肩こりの原因の一つである「血行不良」を改善すれば、おのずと肩こりが和らいでくるはずです。それにはお風呂に入るのが一番効果的! ぬるめの湯に首までつかりましょう。身体が温まった状態で行なう体操・ストレッチはより効果が期待できます。
詳しくは関連記事『家でも会社でも!いつでもできるつらい肩こりのお手軽解消法』の「2.自宅でしっかり解消!肩こりの集中ケア」をご一読ください。
文典:東京ガス
4-5.応急処置としての医薬品も
睡眠に支障をきたすなどのつらい痛みには医薬品を使うのも一つの手です。即効性がありますが、あくまでも応急処置として使ってください。『肩こりにはコレ!効果が期待できる5種類の市販薬のまとめ』に薬局で購入できるおすすめの医薬品が掲載されています。
出典:サロンパス
4-6.肩こりネックレスで継続的な改善を
首に下げるだけで、ほぼ一日中装着できる手軽さから、肩こり解消アイテムとして様々な商品が販売されています。
肩こりネックレスは磁石タイプとチタンタイプがあり、『しつこい肩こりに!肩こりネックレスの商品比較と賢い選び方』の記事でそれぞれの人気商品や使用方法の解説をご覧頂けます。
文典:ピップマグネループ
5.まとめ
繰り返しになりますが、頭痛や吐き気、めまいなどをともなう肩こりは、重大な病気によるものかもしれません。たかが肩こりとあなどらず、つらい肩こりがずっと続いている方は、一度病院で診察してみましょう。
肩こり以外の病気があるかないかを知っておくだけでも気持ちがずっと楽になるはずです。