肩こりに効果がある薬を探していませんか? 症状がつらいけど、病院に行くほど大げさではないし時間もかけられないので、市販の薬でどうにかならないものか……という方のための記事です。
ここでは、薬局で購入できる医薬品の中から、肩こりに効果てきめんなものをピックアップして紹介します。薬のタイプ別に紹介し、その特徴を見ていきますので、自分に合ったものを探してください。
また、肩こりの症状は薬で抑えられますが、肩こり自体は生活習慣病なので、それを未然に防いだり解消するための改善方法も紹介していきます。
1.薬局で手に入る肩こり解消の医薬品
市販薬で肩こりの痛みを解消したいと考える人は、ここに取り上げる薬の使用を検討してください。薬のタイプ別に紹介します。
1-1.筋肉弛緩系
筋肉をやわらげることに主眼を置いたもので、市販薬の中ではもっとも強い効果を発揮します。痛みに我慢できず、すぐにでも痛みをとりたいというならこれがオススメです。
≪コリホグス錠/小林製薬≫
筋肉弛緩成分・クロルゾキサゾンが配合された錠剤。硬くなった筋肉を内側からゆるめ、肩こりをほぐします。痛み止め成分も配合されており、つらい痛みにも速く効きます。腰痛や関節痛、筋炎、腱炎にも効果があります。
なお、服用中は眠気、集中力・注意力の低下が起こる可能性があるので、自動車の運転等は控えてください。
1-2.貼付薬
いわゆる「湿布」に代表されるもので、即効性があります。一般的に、温湿布は慢性的な痛みに、冷湿布は急性の痛みに効くという特徴があります。
≪サロンパス/久光製薬≫
血行を促進するビタミンEや、炎症や痛みを抑える作用をもつサリチル酸メチルなどを配合しています。皮膚刺激を抑えた基剤を使用し、カブれにくいものとなっています。
≪バンテリンコーワパップ/興和≫
鎮痛・消炎成分インドメタシンが配合されています。伸縮性、粘着性にすぐれたパップ剤(薬剤に水分を多く含むもの)で、はがれやすい箇所にもしっかりと貼り付きます。
≪ジクロテクトPROテープ/大正製薬≫
鎮痛消炎成分・ジクロフェナクナトリウムが、痛みの原因物質の生成を抑え、痛みや炎症をやわらげます。24時間効果が持続するという特徴があります。
1-3.塗り薬
貼付薬と同様に、即効性があります。クリーム、ゲル、ローションなど、さまざまなタイプがあり、貼付薬と比較すると有毛部位に効果的です。
≪ゼノールエクサム/大鵬薬品工業≫
フェルビナクが、痛みや腫れの元となる原因を取り除きます。直ぬりできるチックタイプなので塗りやすく、また手が汚れることもありません。
≪ボルタレンEXローション/ノバルティスファーマ≫
ジクロフェナクナトリウムを配合しており、痛みの原因物質の生成を抑えて、痛みをやわらげます。乾きやすいので、首筋などの有毛部位に効果的です。
≪ニューアンメルツヨコヨコ/小林製薬≫
ニコチン酸ベンジルエステルを配合し、肩こりを治癒していきます。無臭性なので、消炎鎮痛剤特有の臭いがほとんどありません。
≪ズッキノン/小林製薬≫
頭痛を伴う肩こりに効く薬です。肩の痛みだけではなく、頭痛もやわらげてくれます。肩から首筋、耳の裏にかけて塗ると、より頭痛への効果を発揮します。
1-4.内服薬
肩こりの三大原因である、筋肉疲労、血行不良、末梢神経の傷には、ビタミンが効きます。特にビタミンB1、B6、B12やビタミンEが効果的です。肩こり用の内服薬には、これらの成分が配合されたものが多くあります。
≪ナボリン/エーザイ≫
筋肉疲労に効果のあるビタミンB1、血行不良を改善するビタミンE、末梢神経の傷を修復するビタミンB12を配合しています。肩こり、眼精疲労や腰痛を、身体の内側から改善します。
≪アリナミンEX/武田薬品工業≫
ビタミンB1、B6、B12およびビタミンEを配合しており、肩こりや眼精疲労、腰痛によく効きます。
≪キューピーコーワ/興和≫
眼精疲労や肩こりによく効きます。ビタミンB1、オキソアミジン末、L-アスパラギン酸マグネシウム・カリウム、ガンマ-オリザノールといった4種のビタミンを同時配合しています。
1-5.漢方薬
≪葛根湯(かっこんとう≫
頭痛、寒気といった風邪の引き始めに用いられるほか、肩こりや筋肉痛にも効果があります。
≪大柴胡湯(だいさいことう)≫
肩こりに効果のある漢方薬で、胃炎や便秘にも効果があります。
≪当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)≫
冷え性や貧血、疲れやすいといった方の体質改善に効果があり、肩こりにも効きます。
≪桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)≫
肩こりのほか、月経不順、月経異常、更年期障害、しみなどにも効果を発揮します。
≪漢方ズッキノン≫
11種類の生薬を配合、血流を改善する作用があるため、肩こりからくる頭痛へ効果があります。
1-6.病院での処方薬について
肩こりの診察を受けられる病院も多くあります。こういった病院で処方される薬は、薬局では販売されていない強力な効果を持つものもあり、また専門家の判断にしたがって薬が選択されるメリットがあります。
詳細は『遠慮はしないで!肩こりは病院で診てもらえます』で解説しています。
1-7.薬はあくまでも対処療法である
ここで紹介した市販薬は、症状を一時的にやわらげるものです。肩こりは生活習慣行ですから、根本的に治すには、日常的に筋肉をやわらげる運動をしたり、生活習慣の見直しが必要となります。
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2.気になる症状をやわらげるストレッチとツボ指圧
肩こりは、肩や首、肩甲骨周辺の筋肉が緊張することにより、発生する症状です。そのような緊張した部位がほぐされれば、症状は緩和されます。ここでは仕事中や、その合間に試すことのできる簡単なストレッチやツボ指圧の方法を解説します。
2-1.ストレッチ
2-1-1.肩の運動
腕を伸ばしたり引っ張ったりすることで、肩を中心に首や肩甲骨周辺の筋肉も伸ばされます。頭の上や体の左右、前方・後方へと伸ばすことで、広範囲の筋肉を伸ばしましょう。
文典:タケダ健康サイト
2-1-2.首の運動
首を左右や、前後に倒すことで、首まわりの筋肉をほぐします。力を入れ過ぎないよう注意して、ゆっくりと行うのがポイントです。
2-1-3.肩甲骨の運動
背中の肩甲骨を大きく動かすには、ラジオ体操の「外回し、内回し」運動が最適です。肩甲骨と周辺の筋肉がしっかりとほぐされます。
文典:ラジオ体操第一
2-2.ツボ指圧
デスクワーク中でも気楽に行えるツボ指圧。肩こりに効くツボは下図のように多くありますが、中でも「肩井(けんせい)」「風池(ふうち)」「天柱(てんちゅう)」が代表的なツボです。これらを重点的に指圧すれば、症状が楽になるはずです。
なお、ツボを押す際は、指の先ではなく指の腹で押すことにより、広範囲に力強い刺激を与えることができます。
文典:セルフドクターネット
3.肩こりの慢性化を防止する方法
3-1.肩こりの原因である筋肉疲労、眼精疲労、ストレスをためこまない生活を
肩こりは、筋肉疲労以外にも、眼精疲労やストレスの影響を受けて悪化するものです。これらをため込まず、日常的に発散することが、肩こり予防につながるといえます。
3-1-1.眼精疲労の解消法
顔は正面に向けたまま、顔を動かさずに眼球をぐるぐると大きく回転させます。右回り、左回りともにし、同じ回数行いましょう。また、目を思いきりつぶり、ぱっと開く運動も効果的です。
3-1-2.ストレスの解消法
ストレスを感じると、自律神経(交感神経と副交感神経)に乱れが生じ、体にさまざまな不調が現れます。そんなときには、副交感神経に働いてもらうことで、体を落ち着けることができます。
「入浴」「アロマテラピー」「適度な運動」は、副交感神経の働きを誘発してくれます。
3-2.正しい姿勢を心がけた生活を
肩や首は、頭部を支える箇所であるため、どうしても負荷がかかりやすいという宿命にあります。そこに猫背のような悪姿勢という要素が加わることにより、さらなる負荷がかかり、肩こりの症状が悪化します。
3-2-1.正しい座り姿勢
デスクワークなどで座っているときは猫背になりがちなので、意識的に矯正する必要があります。イスに深く腰掛け、背筋を伸ばすことで、肩や首へ負担のかからない姿勢となります。
正しい座り方は『筋肉を動かすことが大切!猫背を治す3種類のかんたん体操』でも解説しています。
3-2-2.正しい立ち姿勢
あごを引き、背筋をぴんと伸ばします。その際、耳の穴、肩の中央、くるぶしが一直線になるよう意識します。前かがみや反らし過ぎにならないよう、注意しましょう。
4.まとめ
薬局で手に入る医薬品は、つらい肩こりの症状を抑えてくれる即効性があります。症状や痛みを感じる部位に応じて、最適な薬を選びましょう。
ただし、こうした薬により肩こりを完治させることは難しいといえます。肩こりは生活習慣から来るものだと正しく認識し、たまった疲労はすぐに解消するようにし、また体に負担をかけないような生活を送るよう心がけましょう。