むちうちの治療は最初が肝心! 交通事故やスポーツなどで衝撃を受けたら、痛みや違和感がある場合はもちろん、自覚症状がない場合でもすぐに整形外科に行ってください。
むちうちを治すためには、事故直後に安静にすることがなにより大切です。
この記事では、痛みが治まったあとの治療法や、むちうちの症状のパターンも解説していきます。繰り返しますが、むちうちの可能性があればまず病院、そして安静!
1.事故直後のむちうちの治療
1-1.すぐに病院に行く!
むちうちの治療において、圧倒的に重要なのが事故直後の対応です。交通事故やスポーツでの衝突などで首に衝撃があった場合、痛みの自覚症状がなくても、すぐ病院(できれば整形外科)に行き、しばらく安静にするのが鉄則。ここを怠ると、一生治らない後遺症が残る可能性があります。
1-2.そのとき痛くなくても病院に行くべき理由
1-2-1.痛みが出るまでタイムラグがある
むちうちは事故直後に痛みがなく、1~3日後に症状が現れやすいです。
痛みが出ることを待たず、なるべく早く検査を受けましょう。
1-2-2.事故直後は興奮状態で痛みに気づきにくい
むちうちの症状がひどいほど痛みがすぐ出ますが、交通事故やスポーツの事故直後の興奮状態で、痛みを感じていない可能性があります。
1-2-3.むちうち以外の症状の可能性もある
衝撃で脳出血している可能性もあります。頭部や首になんらかのダメージがあった場合、すぐに検査をするべきです。
1-3.事故直後はとにかく安静にする
事故直後に絶対にしてはいけないのが、無理に首を動かすことと、温めることです。
1-3-1.外出や仕事の予定はできるだけキャンセルする
患部をなるべく固定するため、できるかぎり自宅で安静にしましょう。
1-3-2.頸椎カラーをつけて首を固定
首を動かさないためには、病院でもらえたり、一般でも販売している頸椎カラー(コルセット)が有効です。
文典:Yahoo!ショッピング
1-3-3.むちうち初期のマッサージはNG
事故直後に、痛いからといって首付近をマッサージするのは危険。かえって治りを遅くします。
1-3-4.患部を冷やせば炎症が抑えられる
事故直後は患部を冷やすことで、痛みを緩和し、炎症が治まるのを早めます。逆に温めるのは×。
1-3-5.痛み止めでは治らない
病院で処方されたり、薬局で買える痛み止めを飲むことで、むちうちの苦痛を緩和できます。しかし、あくまで痛みを感じにくくなっているだけで治癒しているわけではないので、決して無理はしないでください。
2.痛みが治まってからのむちうち治療
患部を固定することで初期の炎症が治まり、痛みが引いたら次の段階の治療に進みます。基本的には最初にかかった整形外科での判断にしたがってください。
2-1.整形外科での治療
緊張した首の筋肉をほぐし、機能回復のためのリハビリが行われます。首を牽引(引っ張る)したり、ホットパックを利用した、温熱治療がメインとなります(初期の炎症が治まったあとは、筋肉を温めます)。
2-2.整骨院での治療
首付近の筋肉をほぐし、血流を良くするため、電気を流したり、マッサージをしてもらえます。
整骨院によっては、むちうちの治療・回復を専門にしているところもあります。
2-3.鍼灸院での治療
首や肩のこりがある場合、鍼灸が効果を発揮する場合があります。
鍼灸が保険適用になる6つの疾病のうちのひとつがむちうちです。
3.むちうちの症状
3-1.直接的な症状
首や手足などにダイレクトに現れる症状です。
3-1-1.頚部の捻挫(けいぶのねんざ)
むちうちでもっとも多い症状で、首を支える筋肉や靱帯、関節包(骨と骨の連結部分)の断裂や損傷が起きている状態です。
<症状>
- 首を動かすときの痛み
- 首が動かしにくい
- 首や背中のこり
- 頭痛
- めまい
<治療>
事故直後は首を固定。炎症が治まってからは、首の筋肉を動かし、血行を良くして機能を回復させます。
3-1-2.神経根の障害(しんけいこんのしょうがい)
首への衝撃で神経根が圧迫されることで起きる症状です。神経根は各神経の根元になる部分で、圧迫される場所により対応した身体の部位に変調が現れます。
文典:疼痛.jp
<症状>
- 腕や手足のしびれ
- 握力低下
- 反射の異常
<治療>
基本的に「頚部の捻挫」と同様の治療法が用いられます
3-2.間接的な症状
むちうちがきっかけとなる間接的な症状です。事故直後に適切な治療をしないことで、後遺症としてこれらの症状が残ることがあります。
3-2-1.脳脊髄液減少症(のうせきずいえきげんしょうしょう)
外部からの衝撃により、脳脊髄を満たしている脳脊髄液が漏れ出ている状態です。
文典:Sampo’s Memo
<症状>
- 慢性的な頭痛
- 首の痛み
- めまい
- 吐き気
- 視力障害
- 献体
- 集中力の低下
<治療法>
最近認知されはじめた新しい疾患であるため、保険診療が適用されていません。
ブラッドパッチという、髄液が漏れるのを防ぐ保険外治療が行われています。
3-2-2.バレリュー症候群
首の交感神経が緊張しすぎている状態で、神経の病気の一種です。
<症状>
- めまい
- 耳鳴り
- 難聴
- 目がかすむ
- 目の疲れ
- 視力低下
- 心臓の苦しみ
- 喉の異常感
- 声がかすれる
- 食べ物が飲み込みづらい
- 全身倦怠
- 集中力の低下
<治療>
基本的に「頚部の捻挫」と同様の治療法が用いられます。
星状神経節ブロック、硬膜外ブロック、トリガーポイントの注射も有効です。
4.むちうちになるメカニズム
4-1.外的な要因
4-1-1.重い頭部が胴体と別方向に動きむちうちに
文典:田澤整骨院
人間の頭部は体重のおよそ10分の1の重さがありますが、この重い頭部が衝撃により胴体と別方向に動くことでむちうちになります。
4-1-2.交通事故の被害度は関係ない
むちうちで一番多い原因は交通事故による首への衝撃ですが、事故の被害度合いはむちうちと関係ありません。
軽い事故でも首への衝撃があればむちうちになるため、どんな事故でも念のため病院に行くようにしましょう。
ただし、むちうちは筋肉や靱帯の損傷が主なので、レントゲンでは異常が見つかりにくいです。
よって首に衝撃がある事故直後は、病院で問題なしと診断されても、念のため安静にして様子を見ましょう。
4-2.心理的な原因
事故や外傷によるストレスを回避するために脳の機能が低下し、約5㎏ある頭の重さに耐えきれなくなって血流が低下してしまうことがあります。
こうなると、首や肩の痛みやこりが発生します。
5.まとめ
むちうちはの後遺症で苦しんでいる方が多いのは、事故発生直後には、違和感を覚えるだけだったり、痛みがそれほどでもないと感じたりすることが珍しくないからです。事故直後に痛みを感じなくても、念のため受診しましょう。