枕と肩こりの関係って?
頑固な肩こりで悩んでいる人は多いと思います。肩こりの原因はいろいろ考えられますが、そのひとつが枕です。寝ているときは、腰に体重の約44%、頭には約8%の負荷がかかるといわれています。たとえば体重が50kgの人なら、頭には約4kgもの負荷がかかっていることになるのです。毎日寝るたびにこれだけの重さが頭から首にかけてかかっているわけですから、枕が合っていないと、ますます肩こりが悪化してしまいます。
寝ているときに考えられる肩の痛みの原因には、次のようなものが考えられます。
・寝る姿勢が悪いため余計な負担がかかっている
・枕と首に隙間ができているため首が常に緊張している
・血行が滞っている
・骨がゆがんでいる
・うつぶせに寝るクセがある
こうした症状は、自分に合った枕で寝ることによって負担を減らすことができます。まず、枕は高すぎても低すぎても体に負担がかかります。寝ているときも、背骨と首の高さが真っ直ぐで自然な形であれば、負担は少なくなると言えるでしょう。しかし、首の形に沿っている枕はお勧めしません。なぜなら、安眠のためには「頚椎をフリーにすること」が必要だからです。
脳から出た睡眠を促すためのホルモンは、首を通って全身に行き渡ります。このとき、枕が頚椎にフィットしていると、頚椎が圧迫されスムーズにホルモンが行き渡りません。それだけでなく血液も流れにくくなってしまうので、栄養も滞りがちに。睡眠中は体を修復させるために栄養が必要不可欠なので、疲労回復や傷の治りなどにも影響が出ることがあるのです。もちろん肩こりも悪化してしまいます。
枕と肩こりは深い関係にあることがわかりましたが、自分に合わない枕を使っていると、他にどのようなリスクがあるのでしょうか。
たとえば高すぎる枕は気道が圧迫され、いびきの原因になることがあります。また、合わない枕を使っていると、布団に入ってもなかなかリラックスできず、寝付きも悪くなりがちです。その理由は、首や肩の筋肉が緊張状態になりストレスを感じているから。眠れないことがさらにストレスとなり、悪循環になってしまいます。このように枕ひとつで肩こりだけではなく、全身の不調にもつながるので、枕選びはとても大切なことです。
あなたに合った枕の選び方を解説!
自分に合う枕とひと口にいっても、いざ選ぼうとすると迷ってしまいますね。さまざまなタイプの枕がありますが、いちばんのポイントは、理想的な寝姿勢を保つことです。人は立っているとき、背骨がS字を描くように屈曲していますが、重い頭部を支える頚椎もゆるやかなカーブを描いています。その隙間をキープしつつ、なおかつ首に負担がかからないように頭を支えてくれる枕を探す必要があるのです。
枕が合っているかどうかを簡単に判断するには、目覚めたときの状態を見るとよいでしょう。頭が枕から落ちている場合は、枕が高すぎる可能性があります。高すぎる枕も頚椎を圧迫し、肩こりや首こりを招いてしまうのです。とくに仰向けで寝る人が高すぎる枕を使っていると、いびきや睡眠時無呼吸症候群の原因になることもあるので要注意。また、低すぎる枕は、顔のむくみや不眠症の原因になることがあります。頚椎が不自然なカーブを描き、肩こりや首の痛みにつながることもあるので注意が必要です。
そこで理想的な枕を選ぶために、チェックするべきポイントを紹介します。
◎高さが体型に合っている
適切な枕は、頭とあごの位置のバランスがとれるようになります。枕に頭をのせた状態を横から見て、あごが上がっていたり、逆に下がりすぎていたりする枕は、合っていないといえます。自分でわからない場合は、他の人に横から見てもらうとよいでしょう。
◎硬さが合っている
柔らかすぎる枕は、頭が沈み込んで固定されてしまうため、寝返りが打ちにくくなります。逆に枕が硬すぎると、頭が安定せず首の筋肉に負担がかかるので、肩こりや首こりの原因になることも。人は寝ている間に約30回寝返りを打つといわれています。これは血流を最適化して、体温を調節する必要があるからです。この寝返りを自然にサポートできるような柔軟性があり、なおかつ適度にフィットする枕を選ぶことが大切です。
◎素材が合っている
頭部は刺激に敏感なので、少しでも違和感や雑音、ニオイが気になると寝付きが悪くなりがちです。自分の好みに合う素材を選ぶのがよいのですが、その際、頭に熱がこもらないこと、汗をよく吸い、素早く発散させること、通気性がよいことの3点もぜひチェックしましょう。
◎大きさが合っている
寝返りを受け止められるサイズかどうか、また、肩先の保温を考慮すれば奥行も必要です。横幅は、自分の肩幅より大きいこと。奥行は肩先まで届くサイズ(40~50cm)が理想です。日本人の平均頭部長から見る~と、男性なら約23cm、女性で約21cmとされているので、目安にしてみてください。
◎季節に合っている
夏は涼しい素材、冬は温かい素材など、季節ごとに温度差を意識して枕を変えてみましょう。とくに頭部は熱による影響を受けやすいので、夏場は頭部を冷却することで快適な睡眠がとれます。
まとめ
枕を選ぶときはショップに行き、お試しをしましょう。家族や友人と一緒に行ってチェックしてもらったり、ショップのスタッフに見てもらったりするとよいですね。枕は毎日使うものですから、多少手間や費用がかかっても、心地よく眠り、スッキリと目覚めることができるような、よいものを選びましょう。