あなたはついさっき、もしくは、先日、足首をひねって捻挫をしたばかりで、どうすればいいのかお困りではありませんか?
足首の捻挫は、階段を駆け足で降りている際や、バレーボールやバスケットボール、サッカー、ラグビー、野球のスライディングなどのスポーツ中、ダンス中などに多く発生します。
もしかしたら、スポーツやダンスの試合や練習が近日中に控えていて、すぐにでも対処し、捻挫の後遺症を残さず復帰したいとお考えかもしれません。
そんなあなたのために、足首の捻挫の応急処置やその後の治療方法、リハビリ方法などをご紹介します。
目次
1.足首をひねった方向はどっち?
1-1.内側にひねった場合
1-2.外側にひねった場合
2.捻挫の3段階をセルフチェックしてみよう
3.足首の捻挫のセルフ処置方法
3-1.応急処置RICE
3-2.損傷した靭帯を保護する
3-2-1.足首用サポーターについて
3-2-2.テーピングの方法
3-3.痛みが引かない場合
4.整形外科で行われる主な治療
5.足首捻挫のリハビリ方法
5-1.リハビリの目的
5-2.リハビリの方法
5-3.再発防止のためのサポーターやテーピング
6.まとめ
1.足首をひねった方向はどっち?
足首の捻挫は、足首を内側か外側の方向に、不自然な形で強くひねることで起きます。
ひねったのが内側か外側かで、重症度が変わってきます。
足関節の構造から考えると、足首は外側よりも内側のほうに動かしやすいため、足首を内側にひねってくじくことが多いといわれています。よって、内側にひねって起きる捻挫は比較的軽症で済むことが多く、セルフ処置だけで十分なケースも多いです。
一方、外側にひねって起きる捻挫は、よほどの強い力が加わらない限り起きることはありません。外側にひねる捻挫が多く起きるのは、ラグビーやアメリカンフットボールなどの激しい接触のあるスポーツや交通事故などです。場合によっては骨折を伴うことも少なくありません。
外側にひねった場合には、よく経過を観察し、腫れや痛みが尋常でない場合には、すぐに病院を受診することを考えましょう。
内側にひねったイメージ
出典:松田整形外科記念病院
1-1.内側にひねった場合
足首を内側にひねった場合、足関節の外側にある次の3つの靭帯のいずれかが損傷したり断裂したりしていると考えられます。ほとんどの場合、足首の捻挫は前距腓靱帯のみ、もしくは、前距腓靱帯と踵腓靱帯両方の損傷といわれています。
・前距腓靱帯(ぜんきょひじんたい)
・踵腓靱帯(ひょうひじんたい)
・後距腓靱帯(こうきょひじんたい)
1-2.外側にひねった場合
足首を外側にひねって捻挫した場合には、内側の靭帯である「三角靭帯」が損傷していると考えられます。また、骨折を伴うこともあります。
2.捻挫の3段階をセルフチェックしてみよう
捻挫は、靭帯損傷の程度で重症度が変わってきます。
足首の近辺の腫れ具体や痛みの度合いによって、この重症度をある程度予測することができます。あなたの捻挫はどの程度だと思われますか?下記を目安にして、自分の捻挫をチェックしてみてください。
「腫れが普通ではない」「痛みが強すぎる」「2週間以上経ったのに腫れが引かない」という場合には中度と重度を疑い、早急に整形外科を受診しましょう。
(1)軽度
状態:靭帯が伸びている
症状:少し腫れ、痛みも軽い。歩くのは少し困難を伴う程度
主な治療法:応急処置のRICE
スポーツ復帰できるまでの期間の目安:10日間~2週間程度
(2)中度
状態:靭帯が部分的に切れている
症状:かなりの腫れが見られ、ひねった側に体重をかけるのがつらく、普通に歩くのが困難
主な治療法:応急処置のRICEと包帯やテーピングなどでの固定(1~2週間程度)
スポーツ復帰できるまでの期間の目安:3週間~4週間程度
(3)重度
状態:靭帯が完全に切れている
症状:関節内で出血するため、足関節全体が腫れる。腫れている箇所を押すとかなり痛む。歩く際には松葉杖を要するほどになることが多い
主な治療法:応急処置のRICEだけでは治まらないため、一定期間、ギブスで固定、もしくは機能的装具で運動療法を実施。場合によっては縫合手術を行うこともある。
スポーツ復帰できるまでの期間の目安:5週間~7週間程度
出典:軽度:森田鍼灸接骨院 中度:中野接骨院 重度:三浦スポーツ整骨院
3.足首の捻挫のセルフ処置方法
足首の捻挫が起きた場合、まずは応急処置としてRICEを行い、損傷した靭帯を保護して動かさないようにすることが大切です。
中度や重度の場合にはすぐに整形外科を受診すべきですが、軽度の場合やすぐに受診できない場合には、できる範囲でセルフ処置を行いましょう。
3-1.応急処置RICE
捻挫をしたらまず安静にして氷や保冷剤などで患部を冷やし、包帯やテーピングなどで固定し、捻挫した足を心臓より高く上げます。
この捻挫時の応急処置方法を「RICE」と呼びます。
RICEとは、「安静=Rest 冷却=Ice 圧迫=Compression 拳上=Elevation」の頭文字を取ったものです。
(1)安静=Rest
無理に動かしたり、体重をかけたりすると症状が悪化することがあります。座って捻挫をした足首を安静に保ちましょう。
(2)冷却=Ice
捻挫した足首を冷やして、痛みや内出血、炎症を抑えます。
ビニール袋の中に氷を入れたものや保冷剤を、テープや包帯、タオルなどを介して患部に当てましょう。
(3)圧迫=Compression
出血や腫れを防ぐために、テーピングや包帯で足首を圧迫します。足首の捻挫の場合、パッドなどを当ててから巻いても良いでしょう。
ただし、圧迫が強すぎると血流悪化や神経圧迫の恐れがあるので、時々、足指の先が青くなっていないかをチェックしましょう。
(4)拳上=Elevation
足首を自分の心臓よりも高い位置に上げると、内出血を防ぐことができ、痛みも和らぎます。クッションやまくら、台などをうまく使いましょう。
出典:ニチバン
このRICE処置は、捻挫してから24時間~48時間の間に行い、腫れや内出血を最小限に抑えるためのものです。つまり、捻挫してから1~2日の間はこの処置を行い続けるということになります。ただし、3日目以降は、反対に温める処置が必要になります。
捻挫当日は、腫れを抑えるために入浴は控えてシャワー程度にし、血行促進しないように注意しましょう。
3-2.損傷した靭帯を保護する
捻挫の初期の治療としてもう一つ大事なのは、損傷した靭帯にストレスを与えないことです。治癒を妨害しないためにも、靭帯を保護する必要があります。
サポーターやテーピング、装具、ギブスでの固定が一般的です。
RICE処置での痛みや腫れのケアと共に、患部を保護してケアしていきましょう。
●足首用サポーターについて
軽度の捻挫の場合には、足首用サポーターを装着して日常動作をしたり、運動したりしましょう。
足首用サポーターは、そのサポートする強度によって違いがあります。自分の足首の痛みの程度に応じて使い分けると良いでしょう。
(1)歩くだけで痛む場合
ザムストA2-DX
このようなしっかりと足首を固定するタイプは、歩いているだけで痛みが出る場合に最適です。
(2)軽い運動などで痛む場合
ザムストA1ショート
ジョギングなどの軽い運動をすると痛みが出る場合には、このような動きやすいサポーターが最適です。
(3)医療用サポーター
医療用足首サポーター アンクルフィット
このような、プロのスポーツ選手が利用するような医療用もあります。日常的に本格的なスポーツを行う方におすすめです。
●テーピングの方法
捻挫した部位を保護するために、テーピングを行うのも一つの方法です。
テーピングの方法については、「捻挫をしたらテーピングしていいの?今すぐできるテーピング方法」で詳しく紹介していますのでぜひ確認してみてください。
3-3.痛みが引かない場合
応急処置の後、2週間以上経過しても痛みが引かない場合には、重症の可能性があります。
例えば、前距腓靱帯と踵腓靱帯以外の靭帯に損傷が広がっていたり、炎症が起きてしまっていたりするほか、骨折や脱臼の可能性も考えられます。自己判断ではむずかしいので、早急に整形外科を受診するのをおすすめします。
整形外科は、下記のリンクから探すことができます。
スポーツを日常的に行う方は、スポーツドクターのいる病院を選ぶのをおすすめします。
4.整形外科で行われる主な治療
足首を捻挫した場合、整形外科では3つの重症度に応じて治療が行われます。
先にもご紹介した通り、下記のような治療が一般的です。
(1)軽度:RICE療法
(2)中度:RICE療法と包帯やテーピングなどでの固定(1~2週間程度)
(3)重度:RICE療法では治まらないため、一定期間、ギブスで固定、もしくは機能的装具で運動療法を実施。場合によっては縫合手術を行うこともある。
手術を行った場合、約1週間ほど入院後、通院でリハビリを行うことがある。日常生活への復帰は約1ヶ月、スポーツへの復帰は約3ヶ月を要するといわれている。
5.足首捻挫のリハビリ方法
スポーツやダンスを日常的に行う方は、完治しないまま足首に無理をかけると後遺症が残ることもありますし、再発のリスクも高まります。
また、衰えた筋肉を回復させる意味でも、リハビリは欠かせません。
5-1.リハビリの目的
リハビリを行う前には、その目的を理解してから行うようにしましょう。
【リハビリの目的】
・足の動きを回復させること
・筋力を強化して関節の安定性を高めること
5-2.リハビリの方法
足首の捻挫の場合、主に次のようなリハビリ方法があります。
・足首の動かせる範囲を広げるためにストレッチボードに乗る
・筋力トレーニング(アイソメトリックトレーニング、チューブトレーニング、カーフレイズ、トウレイズ、タオルギャザーなど)
・バランストレーニング
チューブトレーニングの例
出典:古東整形外科・内科
5-3.再発防止のためのサポーターやテーピング
足首捻挫の再発を予防するには、サポーターやテーピングを活用する方法もあります。
リハビリ段階になったら、治療用ではなく、スポーツ向けの動きやすい再発防止用のサポーターやテーピング法を選びましょう。
6.まとめ
足首の捻挫が起きたら、まずはRICE処置を行いましょう。そして、腫れや症状から、その重症度をある程度予測することが大切です。スポーツ復帰を早めるためにも、少しでも異常さが感じられたら、すぐに整形外科のスポーツドクターに診てもらうのをおすすめします。
適切な治療やリハビリ、再発予防を行えば、捻挫後も早期のスポーツ復帰が可能です。ぜひ今回ご紹介した手順を目安にして対処してみてください。