この捻挫、病院へ行くべき?チェックリストと病院での治療法

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捻挫 治療
足首をねじってしまったり、膝関節をくじいてしまったりして、足を捻挫することはよくあることです。

そんなときは、病院でレントゲンを撮ってもらい、診てもらうのが一番ですが、症状が比較的軽い場合や、忙しく病院を受診できない場合などは、迷うところも多いでしょう。

そこで、捻挫で病院を受診すべきかどうかの判断基準や、病院を受診しなかったらどうなるのか、そして、応急処置や病院へのかかり方、治療法などをご紹介します。

1.この捻挫、病院へ行くべき?
1-1.捻挫をしたらどうすればいい?
1-2.病院へ行くべき判断基準
1-3.病院に行かなかったらどうなる?
2.整形外科に行く前にやっておくべきこと
2-1.捻挫をしたときにやっておきたいこと
2-2.捻挫をしたときにやってはいけないこと
2-2-1.捻挫後すぐに患部を温める
2-2-2.いつまでも冷やし続ける
2-2-3.弾性のある包帯をきつく巻く
2-2-4.足を心臓より下に下げたままにする
2-2-5.完治するまでガマンできず無理して動かす
3.整形外科を受診する
3-1.整形外科で確認すべきこと
3-2.どのような治療が行われるのか
3-2-1.足首の捻挫
3-2-2.膝関節の捻挫
3-3.どれくらいの期間で治るのか
4.整形外科を受診した後にすべきこと
5.捻挫の治療のための整形外科の探し方
6.まとめ

1.この捻挫、病院へ行くべき?

1-1.捻挫をしたらどうすればいい?

捻挫をして、腫れや痛みが起きている場合、どう対処するのがベストなのか迷うことでしょう。捻挫をしたときは、一般的に、次のような複数の選択肢があります。

・自分で処置する
・整体、整骨院に行く
・整形外科を受診する

最も安全なのは、その場で応急処置を行い、すぐにでも整形外科を受診することです。整形外科では唯一レントゲン検査を行うことができるので、骨折や靭帯(じんたい)が切れているなどの重傷かどうか正しく診断してもらえます。
整体や整骨院でも捻挫ケアを行ってくれるところはありますが、下記の表でわかるように、整形外科とは、医師の資格やレントゲン検査の有無などの違いがあります。

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出典:中野接骨院

1-2.病院へ行くべき判断基準

「病院に行くほどではない」「それほど腫れていないし、痛みもないから骨折しているわけではなさそう。セルフケアで十分」と思う方もいるかもしれません。

そこで、整形外科にかかるべき判断基準をチェックしてみましょう。少しでも該当する方は、受診をおすすめします。

・痛み、腫れがひどい
・足首が変形している
・足首がぐらぐらして不安定 (受傷直後は痛みと腫れがひどいため、わかりにくいこともある)
・痛み・腫れ・内出血がひどい、足を動かせない、体重をかけられない、足がしびれる(骨折の疑いあり)
・24時間以上経過しても足首に体重がまったくかけられない
・72時間以上経過しても体重があまりかけられない
・早期に本格的なスポーツへの復帰を望んでいる場合

文典:日本クリニック

1-3.病院に行かなかったらどうなる?

捻挫をしたとき、1-2で紹介したようなセルフチェックを行わず、「腫れや痛みもそれほどないから、たいしたことはないだろう」と判断し、病院へ行かなかった場合どうなるのでしょうか?

実は、この判断は、次のようなリスクを潜んでいます。

●見た目や痛みの程度だけで判断してしまうと、重大な損傷に気づかないことがある
「骨折=腫れる」とは限りません。また、靭帯が切れて出血しても、腫れることがあります。つまり、見た目や痛みの程度だけで判断してしまうと、重大な損傷に気づかないこともあるのです。 そのまま捻挫した部位を無理に動かしてしまい、捻挫が癖になってしまったり、悪化や完治の遅れなどによって、いつまでも足の違和感や痛みが残ってしまったりすることにもなりかねません。

●骨折を放っておくと骨に支障が出る
骨折を放っておくと、変形したまま骨同士がくっついてしまったり、骨同士がくっつかなくなってしまったりしてしまうこともあります。
このように、自己判断は大きなリスクを伴いますので、簡単なチェックを行い、少しでも重症が疑われる場合には、できるだけ早めに整形外科にかかりましょう。

2.整形外科に行く前にやっておくべきこと

捻挫は、受傷してから24時間以内に応急処置を行うことで、早期治療に役立つといわれています。整形外科を受診する場合でも、行く前に必ず適切な処置を行っておきましょう。また、やってはいけないこともご紹介していますので、ぜひご注意ください。

2-1.捻挫をしたときにやっておきたいこと

一般的に、捻挫の応急処置方法としては、「RICE処置」がいいといわれています。「RICE」とは、次の4つの処置方法の言葉の頭文字をとったものです。

R:rest(安静)
I:ice(冷却)
C:compression(圧迫)
E:elevation(拳上・高拳)

(1)安静 athletic_injury_02
患部を動かさず、安静にして、炎症を抑えます。

(2)冷却 athletic_injury_03
患部を中心に、氷のうや氷水、冷却スプレー、冷感パックなどで冷やし、炎症を抑え、痛みを取ります。受傷直後48時間は冷やしますが、3日目以降は反対に温める処置を行います。

(3)圧迫 athletic_injury_04
テーピングや弾性包帯などで患部を軽く圧迫して、内出血や腫れを防ぎます。

(4)拳上・高拳 athletic_injury_05
患部を心臓より高い位置に保ち、内出血や腫れを防ぎます。

出典:日本整形外科学会

このRICE処置法はあくまで捻挫直後の応急処置です。また、患部に変形が見られる場合には、骨折の可能性がありますので、添え木などで固定して、一刻も早く整形外科を受診しましょう。

2-2.捻挫をしたときにやってはいけないこと

捻挫をしたときに、次のようなことはやってはいけません。

2-2-1.捻挫後すぐに患部を温める

捻挫をした後、48時間は患部を冷やすのが基本的な正しい処置方法です。温めてしまうと痛みや腫れが悪化してしまいます。入浴は、シャワー程度にして湯船に浸かるのは避けたほうが良さそうです。

2-2-2.いつまでも冷やし続ける

細胞は損傷してから72時間後になって、ようやく修復作業を始めるので、72時間後からは逆に幹部を温めて血行を良くし、修復を促しましょう。いつまでも冷やし続けてしまうと、かえって治りが遅くなります。

2-2-3.包帯をきつく巻く

捻挫後、包帯を巻くときは、きつく巻きすぎに注意してください。血液のめぐりが滞り、しびれたり、足先が赤紫になったりしてしまいます。包帯のきつさで痛みがある場合はゆるめましょう。

2-2-4.足を心臓より下に下げたままにする

患部は心臓より上に挙げておくのが基本です。足を下げていると、腫れが収まりません。

2-2-5.完治するまでガマンできず無理して動かす

無理に動かしてしまうと、回復が遅れることが多いです。スポーツなどを行うのは完治したことを十分に確認してからにしましょう。

3.整形外科を受診する

3-1.整形外科で確認すべきこと

整形外科を受診したら、次のことを医師に確認しましょう。

・骨折の有無
・靭帯の損傷は、どの程度か(伸びている・一部が切れている・完全に切れている)
・治療方法・治療にかかる期間

3-2.どのような治療が行われるのか

捻挫で整形外科を受診すると、程度に応じて、次のような方法で治療が行われます。

・応急処置(RICE処置法など)
・手術による治療
・手術以外の保存的治療(運動療法・物理療法・薬物療法)
・必要に応じて、テーピング、松葉杖などの補助具の貸し出し

では、捻挫でも特に多いといわれる、足首の捻挫と膝関節の捻挫のそれぞれの治療法を詳しく見てみましょう。

3-2-1.足首の捻挫

sprain_of_ankle.html 出典:日本整形外科学会

足首(足関節)の捻挫は、誤って足首を内側にひねってしまって起きる「内がえし」によるものが多いといわれています。主に、足首の外側が伸ばされてしまい、「前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)」と呼ばれる靭帯が過度に緊張することによって損傷している状態です。

さらに損傷が強い場合には、「踵腓靭帯 (しょうひじんたい)」までも損傷してしまうケースもあります。 この足首の捻挫は、靭帯の損傷の度合いによって次の3つのレベルに分けることができ、レベルに応じてふさわしい治療が行われます。医師によって診断基準は異なりますが、どのような治療が行われるかの目安にしてみてください。

レベル1:靭帯が伸びている
レベル2:靭帯の一部が切れている
レベル3:靭帯が完全に切れている

レベル1と2は、RICE処置のみで治療が済む場合がありますが、レベル3になると、RICE処置にプラスして、2~3週間固定することもあるようです。もし足首がかなり不安定になっている場合、手術が必要になることもあります。

3-2-2.膝関節の捻挫

膝関節に異常な力が加わって起きる捻挫の場合も、関節に腫れや痛みが生じてきます。この場合も、足首の捻挫と同様、靭帯の損傷度合いによって治療が異なってきます。また、半月板の損傷も確認されます。診断時には、どの方向からどのように膝に力が加わったのかを詳細に説明できるようにしておきましょう。

手術が必要になることもありますが、小切開で行われることが多いといわれています。保存療法の場合には、装具やサポーターなどが用いられます。

3-3.どれくらいの期間で治るのか

整形外科を受診後、適切な治療が行われた場合、どれくらいの期間で治るのでしょうか。 一般的に、損傷した靭帯が修復されるには、2週間~2ヶ月を要するといわれています。

4.整形外科を受診した後にすべきこと

整形外科を受診しても安心せず、自分の捻挫の経過を観察し続けましょう。もし受診時に軽度だと診断されても、実は重症が隠れているケースもあるからです。

よくなってきているのか、それとも痛みや腫れがひどくなってきているのかは、日々経過を観察している自分にしか判断できないことです。

正確に把握し、痛みや腫れが増しているようであれば、すぐに再度、整形外科を受診しましょう。

5.捻挫の治療のための整形外科の探し方

捻挫で受診する整形外科は、次のような方法で探すことができます。

日本整形外科学会の「専門医を探す」から検索する

ここカラダで地域の整形外科を探す

6.まとめ

捻挫をした直後は、腫れや痛みで戸惑うことも多いものです。最悪の場合、骨折や靭帯が完全に切れてしまうこともありますので、慎重に判断して行動しましょう。 まずは応急処置を行い、病院にかかるかどうかのチェックを行って、必要に応じて整形外科を受診するのをおすすめします。

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