あなたは過去に、仮眠で失敗した経験はありませんか?
残業続きで帰宅時間が遅くなり、睡眠不足が続いている中、日中の眠気に耐えられず、少し仮眠をとったは良いものの、起きた後、頭痛、寝足りなさがある、かえって頭がぼーっとする、具合が悪いなど、心身共にすぐれない状態になってしまった。
このようなことはよくあることです。
しかし、それはたまたまそうなったわけではなく、何かしら仮眠を失敗してしまう原因が隠されていたはずです。
その仮眠の失敗原因の一つとして考えられるのが、「時間」です。
そこで、心身共にスッキリし、仮眠後もシャッキリ目覚められ、スムーズに仕事が再スタートできる最適な仮眠時間とタイミングをご紹介します。
目次
1.最適な仮眠時間は15~20分
2.仮眠失敗の大きな原因「徐波睡眠」
2-1.「徐波睡眠」は、深いリラックス状態!
2-2.仮眠で「徐波睡眠」が出現する流れ
3.30分以上仮眠をとるとどのような悪影響が出るのか
4.1分間の仮眠方法もある
5.仮眠に適したタイミング
5-1.夜勤中の仮眠のタイミング
6.仮眠で得られる3つの効果
7.最高の仮眠を得るためのアイデアと注意点
8.まとめ
1.最適な仮眠時間は15~20分
最適な仮眠時間については、多くの研究結果や、睡眠学で権威のある人、医師などの見解によれば、「15~20分程度」だといわれています。
それより短すぎても、長すぎても良くないといわれているのです。
早速、仮眠をとろうと思っている人は、アラームを15~20分にセットして眠りましょう。きっと、目覚めた後は、爽快な感覚が得られ、脳も疲れも眠気もスッキリしているはずです。
2.仮眠失敗の大きな原因「徐波睡眠」
あなたは仮眠をとった後、次のような状態になった経験はありませんか?
・頭がボーっとして脳の回転が鈍くなった
・かえって疲れが増した
・夜、眠れなくなった
これらの状態になるということは、おそらく30分以上寝てしまっている可能性が高いです。仮眠は30分以上だと取り過ぎになり、上記のような悪影響が出るといわれているからです。
では、なぜ30分以上仮眠をとると良くないのでしょうか。
それは、人は30分以上眠ると「徐波睡眠」が出現してしまうからです。
2-1.「徐波睡眠」は、深いリラックス状態!
徐波睡眠とは、いわゆる「深い眠り」のこと。
睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2種類がありますが、
徐波睡眠とは、ノンレム睡眠に含まれるものです。
ノンレム睡眠の中でも深い徐波睡眠中は、深いリラックス状態にあります。
そして、このノンレム睡眠のときに成長ホルモンが分泌されて身体の疲労回復が行われます。
また、脳が眠っている状態なので、脳の疲れも解消されます。
しかし、ここまで深い眠りが仮眠中に現れてしまうと、さまざまな悪影響が出てきてしまうのです。
2-2.仮眠で「徐波睡眠」が出現する流れ
睡眠学を専門とする広島大学の林光緒教授によれば、まず人は仮眠をとると次のような流れで睡眠に入っていくといいます。
段階1 うとうと状態
↓
段階2 5~10分後、浅い睡眠へ
↓
段階3~4 20分以降 徐波睡眠が出現
このような流れがあることから、徐波睡眠を出現させないためには、15~20分程度の短時間仮眠が有効であるとされています。
では、徐波睡眠をとってしまうと、どのような悪影響が出るのかを具体的に見てみましょう。
3.30分以上仮眠をとるとどのような悪影響が出るのか
●夜の睡眠の徐波睡眠が減ってしまう
昼の仮眠中、徐波睡眠が現れてしまうと、夜の徐波睡眠が減ってしまいます。
よって、夜の睡眠の質が落ちてしまうのです。
「眠れない」状態に陥ってしまう可能性も高くなります。
●仮眠後、脳の認知能力が戻るまで時間がかかる
15分の仮眠と、1時間の仮眠の後では、1時間の仮眠の後のほうが眠気が多いといわれています。オーストラリアの研究では、長く眠り過ぎると、脳が覚醒し、認知能力が戻るまで時間がかかることが分かっているのです。
出典:日本経済新聞
仮眠に限らず、そもそも人は、覚醒直後には認知機能が著しく低下するといわれており、目覚めて1~2時間は何も作業をしないほうがいいといわれているくらいです。
日中、仮眠で長く眠り過ぎると、当然覚醒レベルが戻りにくくなるため、後の仕事のパフォーマンスに大きな悪影響が及びます。
4.1分間の仮眠方法もある
最適な睡眠時間は、15~20分と紹介しましたが、実は「1分間仮眠」という特殊な方法もあります。
これは、日本睡眠学会の坪田聡医師が提唱している仮眠法です。
やり方は、日中、眠気が原因でミス増え、集中力が続かなくなったときなどに、1分間だけ目をつぶるだけです。
これにより、外界の視覚情報を一切遮断することで、脳を休憩させることができるのだそうです。
確かに20分の仮眠のほうが持続性があるものの、この1分間仮眠は、それだけで眠気を取ることができ、シャッキリするといわれています。
ただし、この1分間仮眠の効果を得るには、次のような条件が必要だそうです。
・夜は質の高い睡眠を6時間以上とる
・日中、必ず20分間の仮眠をとる
・少しでも時間があるときは10分仮眠をとる
文典:SBCr Online
1分間仮眠については、こちらの記事でも解説していますので、あわせてチェックしてみてください。
徹夜が多いハードワーカー必見!疲れがグッととれる仮眠のコツと最適な時間
5.仮眠に適したタイミング
ところで、最適な仮眠時間は15~20分程度と分かったものの、日中に寝るタイミングは、いつがベストなのでしょうか?
一般的には、15時より前に昼寝をすることが重要だといわれています。
この15時のラインを越えてしまうと、夜眠れなくなったり、夜の睡眠の質が下がってしまったりするからです。
最適なタイミングは、ちょうど午後一番で眠くなりがちな13時~14時頃だといわれています。
●夜勤中の仮眠のタイミング
夜勤勤務者の場合、サーカディアンリズムという人間の睡眠の生態リズムに合わせて、22時~翌朝6時頃に仮眠をとるのが最適といわれています。
夜勤が続く場合、日中に寝て生活を昼夜逆転させてしまいがちですが、実は日中より夜間の睡眠のほうが、疲労軽減効果が高いのだそうです。
また、夜勤中の仮眠時間については、2時間が理想といわれています。
2時間であれば、徐波睡眠を経て、浅い眠りのレム睡眠がちょうど終わった頃に起きられるため、すっきり目覚められるのです。
出典・文典:日本看護協会
6.仮眠で得られる3つの効果
最適な時間、最適なタイミングで仮眠をとった場合に得られる効果を見ていきましょう。
(1)運動能力・認識力・記憶力が向上する
北京大学の研究によれば、トレーニングを行った後に仮眠をとると、脳機能と視覚機能が向上し、肉体・精神共に回復が促進されることが分かっています。
また、アメリカの国立精神衛生研究所によれば、日中の仮眠が情報オーバーロードを緩和すると報告されています。この情報過多の時代に、必要な情報を抽出し、判断や意思決定を下すパフォーマンスの向上が仮眠によって見込めるということです。
(2)気分が良くなり、リフレッシュされる
精神面でもリフレッシュ効果があり、気分もよくなります。よって、仕事にも前向きに取り組むことができ、より活力が増すため、生産性も上がります。
(3)虚血性心疾患になりにくくなる
午後に30分仮眠をとっている人は、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患にかかる率が低いことが分かっています。その理由は、午後の仮眠中は、血圧が低下するためだといわれており、それが虚血性心疾患や高血圧などの疾患予防に役立っているのだといいます。
7.最高の仮眠を得るためのアイデアと注意点
最後に、仮眠をより効果的にとる方法と気を付けたほうが良い注意点を紹介します。
時間とタイミングを守り、これらのアイデアと注意点をあわせて実施し、ぜひ最高の仮眠を得てください。
●横になってはいけない
15~20分程度の仮眠は、ベッドやソファー、リクライニングチェアなどで横にならず、机に伏して寝たり、仮眠用の枕を机の上に置いて顔を乗せたり、椅子に座ったまま背もたれや壁によりかかったりと、座ったままの寝姿勢で寝るようにしましょう。
なぜなら、横たわってしまうと寝過ぎてしまう恐れもありますし、深く眠ってしまい、仮眠後に身体がだるく、脳の覚醒も遅くなる傾向があるからです。
●仮眠前にカフェイン飲料を飲む
コーヒーや緑茶などのカフェイン飲料は、飲んでから30分後くらいに覚醒作用が出てくるため、15~20分の仮眠直前に飲んでおけば、ちょうどカフェインが効いてくる頃に目覚めることができます。
後に重要な仕事が控えているという場合は、ぜひ飲んでから仮眠をとりましょう。
●目の周りを温めるとリラックス効果が高まる
出典:桐灰
仮眠前に、お湯で濡らしたハンカチをしぼって目に当てたり、温熱タイプのアイマスクなどを付けたりして目の周りを温めると、よりリラックスして眠りやすくなります。これは、目の周りを温めると、副交感神経の働きが優位になるからといわれています。
また、仮眠後、シャッキリ目覚めたい場合は、メントール入りのホットアイマスクがおすすめです。
出典:花王
8.まとめ
最適な睡眠時間とタイミング、そして効果的な仮眠方法を実践すれば、もう仮眠を失敗することはなくなるはずです。午後に眠くなりはじめたら、仕事のパフォーマンスを落とさないためにも、ぜひ正しい仮眠を実践し、仮眠後は最高の状態で仕事を再スタートさせましょう!