坐骨神経痛の治療5ステップ

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「何だか足や腰が痛む。もしかしたら、坐骨神経痛かもしれない」

日常生活で、腰から足にかけて伸びている坐骨神経が痛む場合、
腰椎椎間板ヘルニアなどの疾患がある可能性があります。

いずれにしても、できるだけ早くその痛みを取り除き、普通に生活ができるようになりたいものです。

そこで、坐骨神経痛でお悩みのあなたへ、現在医療機関で行われている治療法を分かりやすく解説します。

1.坐骨神経痛の治療法

1-1.坐骨神経痛を治すということ

坐骨神経痛を治すとはどのような意味があるのでしょうか?
簡単にいえば、「坐骨神経を圧迫している筋肉をやわらかくして、痛みの原因を除去する」ことが中心になります。

痛みに対して、鎮痛剤を施せば、当然痛みは和らぎますが、それは一時的な対処法でしかなく、根本的治療とはいえません。しかし、病院にかかれば、まずはその原因に関係なく、症状を和らげることが目的とされています。

もし痛みが和らがない場合は、神経系にアプローチして痛みを軽減させたり、運動や筋トレ、ストレッチなどで痛みの原因を除去したりします。

さまざまな治療を、順を追って行った結果、最終的に痛みが軽減されない場合は、手術が行われることがあります。

1-2.病院へかかった場合の治療の流れ

病院での治療の流れを一通り見ていきましょう。

坐骨神経痛が疑われ、整形外科にかかった場合、次の流れで治療が行われます。

(1)日常での動作指導
(2)薬物療法
(3)理学療法(運動・温熱・電気刺激など)
(4)神経ブロック注射
(5)手術

(1)日常での動作指導

坐骨神経痛の原因として多い「腰椎椎間板ヘルニア」の場合には、まず無理に体を動かさず、安静にしていることが重要です。

腰椎にかかる負荷を減らすために、長時間同じ姿勢で座り続けるのを避けるなどの指導がされます。また、場合によってはコルセットを装着することなども行われます。

(2)薬物療法

鎮痛剤などを用いて、痛みを抑える方法です。
長期間の投与で副作用が起きることがあり、それに対する対処も併せて行われます。
下記は、使用される薬の一例です。

●消炎鎮痛薬
抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用のある薬物

●筋弛緩薬
筋肉によって神経が圧迫されているのを取り除くために使用される

●神経障害性陣痛治療薬
神経の痛みを伝える、神経伝達物質の過剰放出を抑える

●医療用麻薬
脊髄から脳への痛みの伝達をブロックする。
副作用が強く、薬物依存を起こすこともあるため、投与は慎重に行われる。

(3)理学療法(運動・温熱・電気刺激など)

理学療法とは、いわゆるリハビリテーションなどの運動療法や、温熱療法、電気刺激療法などのことです。
普通の日常生活を取り戻せるように、痛みを軽減させたり、弱っている筋肉を強化したりする目的で行われます。

●運動療法
・筋肉の緊張をほぐして血流を改善し、痛みの元となる物質の除去を促す
・筋肉を鍛えて身体機能を向上させる

●温熱療法
・温めて血管を拡張させることで、痛みの原因となる物質の除去を促す
ホットパック、極超短波(マイクロウェーブ)などが利用されることが多い。

ホットパック
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出典:うえは整形外科

極超短波(マイクロウェーブ)
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出典:六本木整骨院

●電気刺激治療法
・低周波の電気刺激を与えて、痛みを伝える神経の働きを抑える

(4)神経ブロック注射

神経とその周辺に「局所麻酔薬」を注射することによって、痛みを無くす方法です。
痛みは神経を通して感じるものなので、その痛みの伝わる経路をブロックすれば痛みが取り除かれるというわけです。

痛みが緩和されれば血流が促され、筋肉のコリも、こわばりも軽減されるといわれています。

薬物療法と併せて、複数回実施するのが一般的です。
痛みの種類や症状によって、複数のブロック注射があります。

(5)手術

(1)~(4)までの方法を行い、痛みが軽減しない場合や、歩行障害、麻痺などの他の神経症状を合併する場合には、手術が行われることもあります。例えば、腰椎椎間板ヘルニアの場合には、ヘルニア切除術やレーザー椎間板切除術が行われています。

坐骨神経痛を引き起こしている病気によって、手術の必要性や、手術内容は異なってきます。

1-3.主な原因である腰椎椎間板ヘルニアの治療法

坐骨神経痛の最も大きな原因といわれている病気が「腰椎椎間板ヘルニア」です。
この場合、どのような治療が行われるのかを簡単に確認しておきましょう。

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出典:岩井医療財団

椎間板と呼ばれる、腰骨の間にあるクッションの中にある、粘性の髄核(ずいかく)と呼ばれる物質が出っ張り、神経に当たり、痛みやしびれ、麻痺などが起きるのが「腰椎椎間板ヘルニア」です。

この場合、「安静⇒薬の投与⇒注射⇒手術」という流れで治療していきます。

まずは安静にして、炎症を抑えること。そして痛み止めを使用し、それでも痛みが治まらない場合に神経ブロック注射を行います。その後、動けない、尿失禁が起きる、肛門の周囲がしびれるなどの場合には、手術を受けることになります。

1-4.治療効果のあるストレッチ

坐骨神経痛は、軽度であれば自宅でストレッチを行うことで、痛みが軽減されることもあります。そこで、実際の治療の現場で行われているストレッチ方法を見ていきましょう。

下記に紹介する2つの体操は、圧迫されている狭さく部位や椎間板への圧迫を減少させることで症状の軽減が見込めるものです。

(1)腰をかがめる体操

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出典:腰痛トレーニング研究所 さくら治療院

1.仰向けになって横になり、両手で膝を抱える
2.息を吐きながら両膝を胸に近づけて5秒間キープ
これを10回くり返し、1日6セット行う。

1-4-2.腰を反らせる体操

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出典:腰痛トレーニング研究所 さくら治療院

1.うつ伏せになって横になり、腕の力で上体をゆっくりと最大限に持ち上げる
2.両ひじを床につけるか、両手を床につけるかして腰を反らせた状態を3秒~10秒間キープする。このとき、腰の力を抜いて息を吐く。

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出典:腰痛トレーニング研究所 さくら治療院

坐骨神経痛の原因疾患によっては、腰を反らせると逆効果になってしまうこともあります。腰を反らせる体操をやってはいけない人は、この体操をした後、痛みやしびれが末梢の太ももやふくらはぎ、すねなどのほうへ移動する場合です。
この場合、腰の神経が刺激されている可能性があるため、無理に動かしてはいけません。

2.坐骨神経痛が治療できる病院

2-1.坐骨神経痛が疑われた場合の受診タイミング

坐骨神経痛が起きたら、一週間程度で自然に治ることがほとんどですが、次のような場合には、早急に整形外科を受診する必要があります。

・一週間~二週間経っても痛みが軽減しない場合
・激しい痛みを感じる場合
・腰痛、下肢のしびれ、筋力低下などを伴う場合

2-2.坐骨神経痛かもしれないと思ったときに受診すべき病院

坐骨神経痛が疑われた場合、整形外科を受診しましょう。

日本整形外科学会

ここカラダ

2-3.重度の症状が出た場合に受診すべき病院

痛みはじめてから一週間~二週間経っても痛みが軽減しない、激しい痛みを感じる、腰痛、下肢のしびれ、筋力低下などを伴うなどの場合には、MRIの検査が可能な病院を受診しましょう。

●MRI検査が可能な整形外科
「MRI検査 整形外科」Google検索結果

3.まとめ

坐骨神経痛の治療法は主にこのような流れで行われていきます。原因の疾患を突き止めることも大切ですが、最も重要なのは、いかに痛みを除去して、普通の日常生活に戻ることができるかどうかということです。

坐骨神経痛が疑われる場合、まずは整形外科に相談してみると良いでしょう。

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