毎晩ぐっすり眠ることができていますか?昨夜の睡眠状態に点数をつけるなら、何点でしょう?平成23年の睡眠調査で自分の睡眠満足度を100点満点で評価してもらったところ平均は43.6点と50点を大きく下回る結果がでています。 そこで気になるのがぐっすり眠るための方法ですが、ちょっと調べたらいろいろありすぎてどう選べばいいのでしょうか。ドラッグストアや、雑誌、インターネットの情報を見ても、さまざまな種類がある睡眠のとり方。それだけ、悩めるユーザーが多いという証しなのかもしれません。 やみくもに試してかえって寝不足にならないために、疲れが取れない眠りの原因から具体的なステップをご紹介します。自分の生活リズムに合った方法から取り入れていきましょう。
1.結局何時間眠ればいいのか?
結論から言うと、理想の睡眠時間は人によって違います。 理想の睡眠は時間よりも「質」が重要で、個人によってばらつきがおおいのでピンポイントの答えはありません。「質の良い睡眠」とは、目覚めがスッキリとしていて、ぐっすり眠ったという満足感が得られる眠りのことです。 質の良い睡眠がもたらす効果とは主に大脳に働きかけます。深い眠りに入ると脳から成長ホルモンが分泌され細胞の新陳代謝を促して、日中の活動で傷ついた体を修復する働きがあるんです。 この大脳には弱点もあり、連続運動に弱いです。ずっと働いて寝不足がつづくとミスをしやすくなりますよね。睡眠不足を解消したい人の多くは「日中のパフォーマンスを十分な状態で行いたい」これに尽きるのではないでしょうか? 例えば、睡眠時間が4時間の方もいれば、9時間寝ないときつい、という方もいるでしょう。人によって最適な睡眠時間はバラバラです。まずは、科学的に証明されている睡眠の仕組みから理解していきましょう。
2.睡眠のメカニズム
睡眠の脳の働きは2つに分けられます。どういった働きで分けられているのか簡単にお伝えします。睡眠は浅い眠りのレム睡眠と、深い眠りのノンレム睡眠の2種類に分けられます。眠りにつくと、まずノンレム睡眠があらわれ、次に浅い眠りのレム睡眠へと移行します。ノンレム睡眠とレム睡眠が交互に約90分周期で一晩に4~5回一定のリズムで繰り返されます。
脳の眠り ノンレム睡眠の特徴
- 入眠直後にあらわれる
- 夢はほとんどみない
- 身体を支える筋肉は働いている
- 眠りが深くなるにしたがって、呼吸回数・脈拍が少なくなる
- 脳の温度を下げる
身体の眠り レム睡眠の特徴
- 眼球がきょろきょろ動く
- 身体の力が完全に抜けている
- 呼吸や脈拍が不規則
- 夢をみる
- 脳の温度を上げる
なぜ人は、ノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返すのかというと、もし、最初から最後までノンレム睡眠だけだとすると脳の温度が下がったままで目覚めたとき正常な活動レベルまで戻すのが難しい、この仕組みがあることで、朝起きたときに大脳がスムーズに活動するわけです。 「4時間睡眠で平気」という人は深いノンレム睡眠がしっかりとれていて、脳を効率よく回復できている人で、重要なことは、いかに目覚めず、ぐっすりと深く眠るかが大切なのです。「睡眠の質」とは「ぐっすり深く眠れているかどうか」ということがわかったところで、なぜ睡眠の質が悪くなってしまうのか?睡眠の妨げになる原因を見極めていきましょう。
3.寝ても疲れがとれない主な原因
「ぐっすり眠れていない感じはするけれど、何が原因か分からない」原因が明確にならないうちは、トラブルシューティングできないので、まずは眠れない理由がどこにあるのか、チェックしていきましょう。
原因① 社会的ストレスによる原因
- 通勤ラッシュでの満員電車にストレスを感じる
- 職場や近所づきあいに常に緊張してしまう
- ときたまバカ食いをしてしまう
- 極端に小食である
- 仕事や役割の責任を常に感じている
原因② 外的ストレスによる原因
- 花粉症で夜または寝起きにひどい症状がでる
- 長距離通勤をしている
- 外傷がある
- 冷暖房を付けていないと就寝できない
原因③ 無意識にしている行動が原因
- 日中は常に頭や体をフル稼働させている
- 就寝前にスポーツ観戦やお笑い番組など好きな番組を観る
- スマートフォンでアラーム設定をし、枕元に置いている
- 疲れていてもスポーツジムに必ず行っている
共感が多かった項目があなたの眠れない原因だと考えられます。項目が分散していても見直しやすいところから改善していきましょう。
4.理想の睡眠がとれる10のステップ
睡眠時間を理想的なものにするための10つのステップをご紹介しましょう。今の生活リズムから始めやすいステップから試してみることをおすすめします。
ステップ1 ぐっすり眠れる環境を整える
寝具を買い替えるにはお金がかかってしまうので身近なところから始めましょう。
- 寝室の状態…余計なモノは整理整頓し視界を広めに確保する
- 音…外の騒音をシャットアウトし睡眠の妨げを軽減する
- 彩色…寝具の色はベージュなどのリッラクスカラーに
- 光…間接照明で薄暗く設定すると癒しの空間になります
- 香り…アロマオイルなど気に入った香りをベットの側に置く
ステップ2 睡眠の2~3時間前に食事を終わらせる
食べ物を口に入れた後も2~3時間は消化器官は働いており、消化器官が働いているままだと、それが終わるまで脳や神経はしっかり休むことができません。尚、食事内は消化の良いものなど、消化器官に負担のかからないものがおすすめです。
ステップ3 最適な温度・湿度を保つ
- 夏は室温を25度~27度程度湿度は70%以下
- 冬は室温を16度~19度湿度45%以上
が睡眠に最適な温度・湿度となります。冷暖房をガンガンに聞かせた部屋で寝ている人も多いと思いますが睡眠不足&肌トラブル&風邪のリスクも高まるので気を付けましょう。
ステップ4 目覚まし時計をかけない
目覚ましアプリや時計など、機械を使っても自分の睡眠周期を知ることは容易ではありません。しかし、発想を逆転させると、理想的な睡眠時間を知るひとつの方法として目覚まし時計をかけずに寝起きする『目覚ましOFF法』があります。毎日決まった時間に起きなければならない人には向きませんが、休みの日なら試せるかもしれません。
ステップ5 睡眠サイクル計算アプリを試す
眠りの記録を(睡眠時間や睡眠の満足度、寝付くまでにかかった時間など)を週間、月間などでデータ化することができ、睡眠リズムを見つけるのに役立ちます。睡眠周期自体が数値化されるものもあり、自分の睡眠周期を知る上での大きな働きをしてくれるはずです。
ステップ6 お酒風呂に入ってみる
「体が冷えて寝られない!」方におすすめ。入浴剤がわりにお酒を入れるだけで、体温をしっかりキープできるのです。高価なお酒を使う必要はナシ。ちょっと古くなってしまったお酒を入れてしまう、なんて方法も良いですね。
ステップ7 寝る前に死者のポーズ
ヨガでのもっともリッラクスできるポーズ。その名は「死者のポーズ」と呼ばれています。
- 仰向けに寝て、膝、肘を軽く伸ばしてリラックス。(眼鏡や髪の毛など、気になる方は外しましょう。)
- 両脚は肩幅程度に開き、腕は体側から少し離します。
- 手の平は上向き。顎を引き、目は軽く閉じる。
- ゆったりとした呼吸を行いながら全身の力を抜き、身体を大地に沈み込ませるようなイメージをする。
ヨガのエクササイズの最後に行われるもので、リラックスの効果があるポーズです。
ステップ8 お昼寝カフェの活用
すきま時間の休息を自分のお部屋のようにのんびりとと過ごせるお昼寝カフェなる存在があります。くつろぎアイテムも様々取り揃えプロが伝授する眠りのあれやこれを知ることができます。
ステップ9 朝シャワーを浴びる
朝シャワーを浴びると頭がスッキリするといわれてます。人によるのでパッとしなければ他の方法を試してみましょう。
ステップ10 目覚めの良い朝食をとる
朝ごはんが心と体にいいのは確かです。和食なら、玄米、きのこ類の味噌汁、海苔、納豆がおすすめ。洋食なら、甘くないパン、サラダ、豆乳、ハム、卵がおすすめです。朝は胃がからっぽで最初に食べたものが吸収されやすいのです。甘いものなどのいきなり血糖値を上げものや脂っこいお肉などはお勧めできません。 意気込んで急に睡眠習慣をがらりと変えるとかえって健康を損ねてしまうので大切なことは、日常に無理のない程度に初めてみることです。
5.著名人の驚くべき睡眠時間
著名人の睡眠時間を少しだけご紹介しましょう。様々な分野で活躍してきた天才たちの睡眠時間はどれも個性的です。方法としてはあまり参考にはなりませんが彼らならではの視点を知るのも話のネタとして面白いでしょう。
タイプ1 諸般【しょはん】睡眠者 [ variable sleeper]睡眠6時間~9時間
・スティーブ・ジョブズ (アップル社設立 実業家)8時間(4時間を2回に分ける分割睡眠)起きている時間が長くなると集中力がなくなっていきます。彼は、疲れたら素直に寝て頭をスッキリさせると、自然に仕事モードに入れる手段をとっていたとされます。
タイプ2 短眠者 [ short sleeper ]睡眠6時間未満
・ビル・ゲイツ(マイクロソフト社創業者 実業家)数日間眠らない日もある。学生時代は2、3日眠らないでプログラミングをしていたと言われています。「超」短時間睡眠です。 ・レオナルド・ダ・ヴィンチ (芸術家)90分。4時間ごとに15分の睡眠をとっていたとされ、スティーブジョブズと同じ分割睡眠の方法です。一日に90分とは極端に少ない睡眠時間ですが、多くの活動時間を芸術や研究に没頭していたとされます。
タイプ3 長眠者 [ long sleeper ]睡眠9時間以上
・アインシュタイン (天才物理学者)10時間以上。幼少のころは、人とのコミュニケーションが苦手で自然とともに暮らしていたとされ、睡眠時は誰にも邪魔させないよう部屋に鍵をかけるほど。 ・ミハエル・シューマッハ(F1ドライバー)12時間以上。精密機械のようなドライバーと評され、何十週コーナーを回ってもブレーキングポイントを50㎝とも狂わせないテクニックは体力、気力ともに超人です。彼は、最低でも12時間以上の睡眠をとっているといわれています。
6.まとめ
睡眠の質は生活習慣を見直すことで改善できます。あなたをとりまく人間関係や、仕事の成果を出していくためにも無理のない範囲で少しずつ10のステップを試してみましょう。日々、試行錯誤していくことで気持ちのいい習慣があなたの理想的な睡眠時間を与えてくれるはずです。