肩こりの症状と、それにともなう頭痛がひどくなっていることに悩み、すぐできる処置方法をお探しではありませんか? まずはあなたの頭痛の症状がズキズキなのか、ジワ―なのかによって処置が変わりますので、それに応じて処置方法を確認してください。 またあわせて、肩こりと頭痛が連動するメカニズム、それを日ごろの生活から予防する策についても紹介します。これをきっかけに、肩こりや頭痛の応急処置だけでに止まらず、長期的改善に取り組んではいかがでしょうか。
1.頭痛の原因をまとめて改善する効果的なストレッチ方法
次の「2.痛みのタイプがちがう2種類の頭痛」でくわしく解説しますが、主な頭痛の原因は、首と背中を中心にした、身体の背面側の筋肉の緊張です。この部分の筋肉を効果的にほぐすストレッチを解説します。座ったままできるので、さっそく試してみましょう。
文典:Dr.ストレッチ
1-1.背中を伸ばす
手の甲を外側に腕を身体の前で組み、息を吐きながら肩甲骨を広げるイメージで頭を倒し、両腕を前に出して行きます。ゆっくり背中を丸めていきましょう。
1-2.首のうしろを伸ばす
手で頭のうしろを押さえ、あごを引き、斜め下に力を入れて首のうしろを伸ばします。戻すときはゆっくり戻してください。
1-3.脇腹、腕のうしろを伸ばす
片方の手でもう片方の手のひじを頭のうしろで持ち、脇腹を意識してゆっくり伸ばしてください。
1-4.腕、肩甲骨周りを伸ばす
- 胸を張り、身体の正面で腕の付け根をもう片方の手で抱え込みます。
- そのまま肩甲骨を意識しながら状態を前に倒します。
2.痛みのタイプがちがう2種類の頭痛
ひと口に頭痛といってもいくつかの症状があり、一般的には大きくズキズキ痛む「後頭神経痛」と、ジワ―と痛む「筋緊張型頭痛」に大別できます。まずはそれらの諸症状と処置方法を見ていきます。またもう一つの可能性として「くも膜下出血」も考えられ、こちらはすぐに救急車を呼ぶべきものです。
2-1. 【ズキズキ】後頭神経痛
後頭部から頭頂部にかけてズキズキ痛むのが、後頭神経痛の症状です。痛む範囲は、頭の一部や片側から全体までとさまざま。また髪の毛を触ると痛むものから、何もしないでも痛むほどまで、個人差があります。
≪代表的な症状≫
- 後頭部の全域や一部が痛む
- 頭のてっぺんが痛む
- 耳の後ろあたりが痛む
- 目の奥が痛む
- 雨の降りだす前に痛む
後頭部には上図のように後頭神経が延びています。頭の先からこめかみ、耳の裏の知覚と関係しています。
後頭神経は、筋肉が緊張することで圧迫され、痛みを感じます。痛みが強い場合は病院にかかるか市販薬を服用し、痛みを抑えてください。痛みがそれほど強くない場合は、首筋の緊張をほぐすことで、痛みの伝達を解消することができます。
≪強い痛みがある場合≫
- 鎮痛剤を服用
- ビタミン剤を服用
- 神経ブロック注射
≪痛みがそれほど強くない場合≫
- 首筋を温めて筋肉を弛緩させる
- ストレッチ
- 整体マッサージ
- 痛む箇所を冷やして炎症をとる
2-2. 【ジワー】筋緊張型頭痛
頭のまわりが締め付けられるような、ジワーとした鈍い痛みを感じるもので、我慢できないほどではないというのが特徴です。数時間~数日の頭痛が断続的に起こる場合や、ほぼ毎日続く場合などがあります。また、肩や首のこり、眼精疲労をともなうことのが一般的です。
≪代表的な症状≫
- ジワーとした鈍痛
- 頭全体が痛い
- ほぼ毎日頭痛がある
- 痛みの程度は変化しない
- 肩や首のこりをともなう
頭を支える首の後ろ側、そして肩周辺の筋肉が疲労して血流が悪化し、硬くなっていると考えられます。この箇所をマッサージやストレッチでほぐしたり、お風呂やシャワーで温めることが、痛みを解消するのに効果的です。
≪解消方法≫
- マッサージ
- ストレッチ
- 風呂で首や肩を温める
- リラックス
- ストレス解消
二つの僧帽筋や肩甲挙筋をほぐすと、頭痛が緩和されます。
文典:せんがわ名倉堂整骨院
2-3. くも膜下出血の場合
ハンマーで殴られたかのような激しい痛みが生じるものです。くも膜下出血は、脳内の血管が破れて出血する病気であり、発症時に激しい頭痛を伴います。命の危険にかかわるので、安静を確保にして救急車を呼んでください。
3.頭、首、肩が連動して不調になるメカニズム
3-1.筋肉の緊張+血流悪化+神経刺激で、肩こりや頭痛が起こる
後頭神経痛は筋肉のこりが神経を刺激することから、筋緊張型頭痛は血流が悪化することから起こります。そもそもなぜ肩周辺の筋肉が疲労するかというと、首(頸椎)は重い頭を、肩は重い腕をそれぞれ支えながら生活しているからです。もともと疲労がたまりやすい部分であるわけです。
3-2. 後頭神経痛の原因
後頭神経は、後頭部の中心から約2~3センチほど外側にあり(左右一本ずつ)、頭頂から頭部と頚部の付け根まで延びています。この付け根の部分に神経が皮膚下まで出ている部分があり、特に痛みを感じる(圧痛点)ようになっています。ここが硬くなった筋肉に刺激されると、痛みが出るという仕組みです。 またこの神経は、肩まで下りる神経と、目に向かう三叉神経第一枝の二つとリンクしています。つまり、後頭神経が痛めばリンクした神経も痛むという症状が生まれ、肩や目にも痛みが出るというわけです。
3-3. 筋緊張型頭痛の原因
筋緊張型頭痛はさまざまな要因から生まれます。大まかに「姿勢」「ストレス」「視力障害」に分けられます。いずれも普段の生活に起因するものであることが特徴です。精神的なストレスは、痛みをコントロールする脳の機能を正常に働かなくさせ、筋肉の緊張とは関係なく頭痛が起こる原因となります。 ≪筋肉が疲労する原因≫
- 不良姿勢
- 長時間にわたる同じ姿勢
- 慢性的な疲労
- 精神的ストレス
- 肉体的ストレス
- 眼精疲労
- 眼鏡やコンタクトレンズが合わない
- ビタミン不足
4.肩こり改善のために日常生活でできること
4-1.身体のケア
肩や首周辺の緊張が、肩こりやそれにともなう頭痛の始まりです。これを普段の生活から取り除くには、日常的にストレッチやマッサージ、首や肩周りを温めるといったケアが有効です。
4-1-1.僧帽筋をほぐす・肩甲骨を動かす
肩や首の周辺は、「僧帽筋」「三角筋」「肩甲挙筋」「棘上筋」「棘下筋」などにより構成されています。この中でもっとも肩こりと深くかかわっているのが、僧帽筋です。その僧帽筋をほぐすには、肩甲骨を動かすのが効果的。ラジオ体操にある腕の「外回し」「内回し」という運動は、もっとも肩甲骨がほぐれる動きの一つです。
文典:肩こり百科
4-1-2.肩こりに効果があるツボを押す
肩こりに効果があるツボがいくつかあります。空いた時間にこれらを自分で押したり、パートナーに押してもらったりして、肩こりによる頭痛を解消していきましょう。
- 百絵(ひゃくえ):頭の頂点付近に少し指で押すとへこむあたり。
- 天柱(てんちゅう):後頭部の生え際のあたり。
- 肩井(けんせい):肩の中央部分の骨の隙間。指を押し込めそうなところ。
文典:肩こり解消情報センター
4-1-3.眼精疲労のケア
目をつぶり、目頭の周辺をマッサージすると、疲れ目がすっきりします。また蒸しタオルを目の部分にあてる、その逆に冷やすなども、効果的です。そして姿勢とも関係しますが、デスクワークでは目がディスプレイに近すぎるのは疲れ目の原因となりますの注意が必要です。
4-2.メンタルのケア
肉体だけでなく、精神のストレスを取り除くことも重要です。休養をとれるのであれば、じっくりと休むのが最善です。とはいえ、スポーツ等で身体を動かしたり、趣味に打ち込むことでも、心の疲れを解放することができます。自分なりのストレス解消法を見つけることが、もっとも重要だといえます。
4-3.姿勢に気を付ける
猫背とは、頭部の重心が前に移った状態であり、そのため正常な姿勢に比べて首や肩周辺への負荷が余計にかかります。特にデスクワークや車の運転時には猫背になりがちなので、背筋を伸ばすよう意識しましょう。
5.まとめ
ズキズキと痛む場合も、ジワ―と痛む場合も、基本的には筋肉をストレッチしたり温めて弛緩することで、症状を和らげることができます。それでも痛みが引かないようであれば、病院や鎮痛薬に頼るのが良いでしょう。首や肩は人体の構造上、疲労がたまりやすい部位です。そのことを認識し、仕事の合間にちょっとしたストレッチをしたり、シャワーやお風呂で筋肉の疲労を解くといったことが、肩こりとそれにともなう頭痛を未然に防ぐ対策となるのです。