寝不足を原因とする頭痛にたびたび悩まされているなら、すぐ効く解消法を用いつつ、良質な睡眠を継続的に確保する対策法をぜひ実行しましょう。
寝不足は頭痛を招くだけでなく、身体にさまざまな変調をもたらします。良質な睡眠環境の構築は、健康的な生活を送るに必須。特に長期的に睡眠不足が続くと、重大な病気になりかねません。
1.寝不足による頭痛の原因
寝不足によって頭痛が起きる原因は、大きく二つに分けられます。どちらも睡眠の質・量を引き上げることで解決されます。
1-1.緊張型頭痛
緊張型頭痛とは、筋肉がこわばり、血圧の循環が悪くなることで起こる頭痛。
睡眠時間が不足していると、筋肉自身が休めないので、体がこわばり、その結果循環不良が引き起こされ、脳への血液供給量が減少し、頭痛を引き起こします。
1-2.偏頭痛
寝不足の状態だと身体をリラックスさせる役割を持つ副交感神経が作用せず、ずっと身体を活発にさせる交感神経がはたらいている状態になります。
その結果、交感神経優位の反作用(副交感神経反射)がおこり、血管がゆるみ、急激に血管が拡張をおこし、三叉神経(さんさしんけい・脳神経の中で最大の神経)を刺激し偏頭痛になります。
2.即効性がある頭痛解消法
2-1.薬を飲む
ロキソニンやバファリンなどの鎮痛剤は頭痛を一時的に解消しますが、根本の原因の解決にはなりません。また、副作用としてめまいや嘔吐を起こしたり、便秘や下痢など消化器へ影響する場合もあります。
本当に必要な時以外はなるべく控えることをオススメします。
2-2.ツボを刺激する
≪合谷(ごうこく)≫
場所:手の甲側の親指と人差し指の骨がぶつかるポイント。
押し方:どちらかというと人差し指側の骨の内側に向け3秒間押してから離す。
文典:コリキク
≪失眠(しつみん)≫
場所:足の裏側、かかと中央の少しへこんだところ。
押し方:イスに座って片手で足首を持ち、反対側の手で握りこぶしを作って20回ほど、ゆったりとしたテンポで叩く。
また、両ひざを立てて、かかとをゆっくり布団にすりつけるのも効果的です。
≪百会(ひゃくえ)≫
場所:頭頂部にあるツボ。左右の耳の穴を結んだラインと眉間の中心から頭のてっぺんに向けたラインが交わるところ。指で押すとややブヨブヨしてへこみます。
押し方:頭を手のひらで包むようにしながら、左右の中指を重ねて圧力を加える。ズシンと響く感じを確認しながら1分間ほど押します。
文典:リーブ21
≪風池(ふうち)≫
場所:後頭部の髪のはえぎわ付近。後頭部中央のへこみと、耳のうしろにある骨のでっぱりをむすんだラインの中間あたり。
押し方:親指での指圧が効果的。他の4本の指で頭を支えるように持つと安定して押しやすくなります。指全体をゆすって、軽く振動をあたえるように押すのが効果的。後頭部のツボに、力が伝わりやすくなります。
文典:視力回復の研究ノート
≪神門(しんもん≫
場所:耳上部のY字型軟骨の間にあります。
押し方:親指で押しもむよう刺激しましょう。また綿棒などでピンポイントに刺激したり、揉んでも良いです。激痛を感じる場合は、時間や力加減を調整してください。
文典:GRAPPS
≪内関(ないかん)≫
場所:手の平を上に向け、手首のしわの中央、手首の下の指2~3本分の場所です。拳を握ると浮き出る2本の筋のちょうど間にあります。
押し方:やや強めの指圧を断続的に行う
文典:二日酔い予防推進協議会
2-3:カフェイン
カフェインには鎮痛作用があり、血管を収縮させる効果もあるため、偏頭痛に有効です。ただしカフェインは摂り過ぎると身体に負担がかかるため、鎮痛目的の摂取は1週間に2日程度にとどめましょう。
3.寝不足にならない効果的な睡眠テクニック
3-1:寝巻きはゆったりしたパジャマが最適
ルームウェアで使われるスウェットやジャージをそのままパジャマ代わりにしてしまうと、ゴワゴワした厚い素材のため寝返りをうちづらくなり、熟睡を妨げる場合があります。
就寝の際にはゆったりとしたパジャマがよいでしょう。
3-2.体を温めると熟睡しやすい
体が冷えるとなかなか寝付けなくなり、その結果寝不足を招きます。寝る前にゆったりとしたお風呂に入り体を温め、足を締め付けない大きめの靴下をはいたまま寝ると良いでしょう。
3-3.熟睡するには敷布団は固いものを
あまりにも柔らかい布団だと、体が沈んでしまい寝返りをうちづらくなります。布団は少し固いくらいがベストです。
3-4.自分に合った枕を選ぶ
選ぶ基準は「高さ」「素材」「形状」の3つです
3-4-1.高さ
快眠するための枕の高さは、女性が平均3cm、男性が平均4cmと言われています。また、「直立姿勢の首の角度を、寝た姿勢でも維持できる枕の高さ」が快眠できる枕の高さです。
3-4-2.素材
メジャーなところで、パイプ素材、エステル・羽根素材・低反発素材があります。
- パイプ素材:安価で手に入りやすい素材です。ゴツゴツした固めの枕が好きな人向け。
- エステル・羽根素材:廉価な素材ですが、ホコリがつきやすいのが難点。フワフワした感覚が好きな方には向いています。
- 低反発素材:人気がある素材ですが気温によって固さが変わる場合があります。
3-4-3.形状
枕選びの際の形状のポイントは、「肩や首への負担が少ないか」と「寝返りをうちやすいか」という点です。
仰向けはもちろん右、左と横に向いても枕から頭が落ちないサイズを考えると最低でも横幅60cm以上は必要になります。
奥行きは肩から頭の先まで30~40cmが好ましいでしょう。また実際に使用して寝返りをしてみることも必要です。
3-5.寝室は真っ暗、起床時は朝日を浴びる
光も自律神経に作用するので、副交感神経を働かせるために寝る部屋はできるだけ暗くしたほうがいいでしょう。
また起床時はしっかりと交感神経を働かせるために、太陽の光をあびることをおすすめします。
3-6.寝る前の飲食は安眠を妨げる
寝る前に飲み食いしてしまうと、消化するため胃が働き出してしまい、なかなか寝付けなくなってしまいます。3時間は時間を空けるようにしましょう。
3-7.寝酒はNG
飲酒をすることで寝付きやすくなるかもしれませんが、途中でトイレに起きたり、眠りが浅くなるので、結局良質の睡眠をとることは難しくなります。
3-8.歯磨きは寝る1時間以上前にすませておく
歯磨き粉にはリフレッシュ効果があることと、歯茎を刺激することで睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌が抑えられてしまいます、
歯を磨くなら寝る寸前ではなく、1時間以上前が良いでしょう。
4.寝不足による頭痛以外の症状
睡眠時間が不足することで、頭痛以外にも様々な症状が現れます。
4-1.吐き気
睡眠不足による頭痛だけでなく、吐き気まで感じるようになるのは疲労のピークを現しており危険信号といえます。そのまま放置していると、
- 高血圧
- 糖尿病
- 肥満
- ガンなどの生活習慣病
などの可能性が高まってしまいます。
また、吐くことで体を楽にしようとしている自然の反応なので、あまり我慢はしないほうがよいとされています。ただ、少しでも負担を少なくするために吐き気を感じるときの食事は控えたほうがよいでしょう。
4-2.目の奥の痛み
寝不足によって頭痛が起こる上、目の奥の痛みが起こる場合は緊張型頭痛による症状であることが多いとされています。
この場合、体をゆっくりあたためて筋肉をほぐすことが必要です。また鎮痛剤はあまり効果がなく、市販の筋弛緩剤であるコリホグスなどが効果があります。
4-3.めまい
寝不足による頭痛とともにめまいを感じるケースも多いようです。
ふわふわする感じのめまいや周りがぐるぐると回るようなめまいは、特に危険なめまいとされています。脳梗塞などの重篤な病気が隠れている場合もあるので、すぐに専門医で受診することをおすすめします。
4-4.血圧の上昇
寝不足の状態だと、体の自律神経バランスが崩れて交感神経が高ぶった状態でいることが長くなるので、結果血圧が上昇しやすくなるといわれています。
高血圧だと将来的に脳出血のリスクが高まることになります。
4-5.微熱
寝不足が続き、なんだか微熱が出てきたという場合も自律神経のバランスが崩れ交感神経が過剰に活発になっている状態。
この状態だと普通の風邪とは違い血液検査をしても異常が見つからない場合が多いです。
5.まとめ
寝不足による頭痛の原因と対策を中心に、安眠するテクニックや寝不足がもたらすリスクを解説してきました。
睡眠はすべての身体活動の原動力となるものなので、質・量ともにこだわりを持つことで、健康的な生活を送る基盤になることでしょう。