頚椎ヘルニアの原因とストレッチが有効な理由
◎頚椎ヘルニアの原因・症状
首に痛みやしびれなどの症状が現れる病気、それが頚椎ヘルニアです。骨と骨の間にあり脊柱を構成している椎間板と呼ばれる組織は、コラーゲンでできた繊維輪（せんいりん）と、ゼラチン状の髄核（ずいかく）と呼ばれる部分から成り立っています。椎間板は髄核のまわりを繊維輪が包んでいる構造になっていますが、この髄核が何らかの理由により繊維輪から外へ飛び出すと、周辺にある神経を圧迫して痛みが生じます。
頚椎ヘルニアは年代や性別を問わず起こる病気ですが、40代以上の人に多く発症するため、骨の老化が主な原因と考えられています。また体を大きく捻るスポーツ（ゴルフ、サーフィンなど）を行ったり、長時間同じ姿勢でいたりした後、急に体を動かすことで骨に強い衝撃がかかることも、頚椎ヘルニアの引き金になります。症状は首や肩周辺のこりや痛みから始まることが多く、最終的に歩行障害や尿失禁など、下半身にも症状が及ぶこともあります。また猫背で姿勢が悪い人、カルシウムやマグネシウム不足の人も注意が必要です。
◎頚椎ヘルニアとストレッチ・マッサージ
頚椎ヘルニアになっても必ずしも手術しなければいけないわけではありません。数ヶ月～半年で自然治癒するケースも多いのですが、まず原因を取り除くことが大切です。普段から姿勢に気をつけたり、頚椎に負担がかかるスポーツや長時間のデスクワークを控えたりするなど、生活習慣から改善していくことで、よりスムーズに自然治癒に向かうでしょう。
そこでおすすめするのが、ストレッチとマッサージです。頚椎ヘルニアの痛みの原因のひとつは血行の悪さですから、ストレッチすることで症状が軽減されたり、マッサージをすることで血行を改善したりするということですね。ただし、頚椎に負担をかけてしまうと変形性頚椎症や椎骨動脈損傷を引き起こす恐れがあるので、首のストレッチは行わないようにしましょう。特に首をぐるぐる回したり反らしたりする動きはとても危険です。ストレッチもマッサージも、首を動かさないことが基本。肩周辺や腕の筋肉をほぐすマッサージが効果的です。血行をよくするという点では、入浴で肩を温めるのもよいですね。肩を冷やさないようにし、38～40℃くらいのぬるま湯にゆっくり浸かって、副交感神経を刺激しながら血流を促進しましょう。
また寝るときの姿勢も重要です。枕に頭をのせたとき、首が後ろに反っていないかチェックし、必要に応じて適切な枕に取り替えるとよいでしょう。
頚椎ヘルニアは間違ったストレッチやマッサージを行うと、症状を悪化させることが多いので、自己判断せずに、早めに病院で診てもらってください。また自分でマッサージをする場合も、医師の診断やアドバイスを受けてから行うようにしましょう。
頚椎ヘルニアに効くストレッチはこれ！
頚椎ヘルニアの症状を改善し、自然治癒を促すにはストレッチが効果的です。難しいものではなく、いつでもどこでもできるストレッチを紹介しますので、ゆっくりと行ってみてください。
1.左右の手の平を額に当て押しながら、同時に頭を前に曲げ、頭と手の平で押し合うようにします。
2.左右の手の平を後頭部に当てて、頭を後ろに倒しながら頭と手の平で押し合うようにします。
3.首を左に倒します。できるだけ肩に近づけるようにして、首の筋をゆっくり伸ばします。そのまま数秒間キープしましょう。右側も同じように行ってください。
4.頭を前に倒します。このとき、顎を喉につけるようなイメージで。ゆっくりと息を吐きながら元に戻します。
5.頭を前に少し倒し、左回り、右回りに首を回します。このとき、反動をつけないようゆっくりやるようにしてください。
1～5までのストレッチは、それぞれ10回くらいを目安に。頭を後ろに倒しすぎないよう注意しましょう。無理に倒したり、左右に勢いをつけて曲げたりすると首に負担がかかり、症状を悪化させることがあるので、呼吸を止めずにゆっくりと行うようにします。
以上のストレッチは、比較的軽度な症状の場合に適しています。整体院かカイロプラクティックに通う時間がなかなかとれないという人も、お風呂上がりなどに10分でよいので実践するとよいと思います。
マッサージの施術は、頚椎ヘルニアに適切な対応をしてくれる病院、整体院などで、頚椎以外の部位を軽くマッサージしてもらいましょう。背中や胸郭など、首周辺の筋肉の緊張がほぐれるだけで、痛みがかなり軽減されます。足の裏や下半身を中心にマッサージすることで、全身のリンパと血液の流れが改善され、頚椎周辺のこりも解消されたという人も少なくありません。自宅での簡単ストレッチに加えて、適切なマッサージを受けることで、回復も早くなりますし、予防にもなるのでおすすめです。
